中部大学教育研究18
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英語の音声を聞く機会を最大限にし、1年次に築いた基盤が、2年次の英語でのコミュニケーション授業のスピーキングに結びつくよう指導する必要があると考えている。4教授法本カリキュラムではICT(InformationandCommunicationTechnology)を積極的に活用することにより、テクノロジーが語学習得機会を広げる「TechnologyEnhancedLanguageLearning(TELL)」の実践に挑み、効果的な授業実践と自己調整学習(SRL:Self-regulatedLearning)の促進方法を追究している。主に活用しているのは、CALL教室(ComputerAssistedLanguageLearning)、LL教室(LanguageLaboratory)といった語学専門環境、教材作成とLMSを備えたwebプラットフォーム「Glexa」、英語の音にフォーカスした学習方法を特徴としているe-Learning教材「ATRCALLBRIX」である。4.1リスニング強化の手法大学の一般的な英語授業において、リスニングに割り当てられる時間は限られていることが多いが、本カリキュラムはそれを短時間で効果的、効率的に培うことに挑戦している。教材にはInnerCircleからExpandingCircleまでの英語を聞く機会が含まれているもの、すなわちアメリカ英語、イギリス英語のいずれかでもなく、できる限り多様な話者が登場する教材を選定している。また限られた授業時間を支えているのは、教材作成とLMSを備えたwebプラットフォーム「Glexa」である。Glexaには教材はなく、白紙のノートのようなものである。採択している教科書を用いるのであれば、出版社の承諾を得た上で、Glexaで教科書に沿った課題作成を教員がしていくことができる。リスニングの場合、例えば課題を(a)多岐選択、(b)空所補充、(c)語順整序、(d)ディクテーションなどの問題形式から選択することができ、課題に取り組む制限時間の設定、挑戦回数の設定、提出期間や期限の設定をすることができる。提出を1回のみとすれば小テストとなり、挑戦回数を無制限にすればトレーニング課題となる。本カリキュラムでは1年次にはCALL教室において授業時間内にもGlexaを活用しており、2年次にはSRLとして授業時間外に取り組ませ復習トレーニングできるようにしている。Glexaでは手動採点をすることも可能だが、英語の多くの課題は自動採点されれば教員が採点作業や記録から解放されるだけでなく、学生も課題提出と同時に学習状況を瞬時に把握でき、次の学習に活かしていくことができる。授業外で宿題とした場合、Glexaを使えば提出を次の授業まで待つ必要もなく、教師はその学習状況・提出状況から観察できたことを次の授業に反映することもできる。授業時間内に正解チェックの時間を設けなくても良いことは、それに相当する時間を別のアクティビティに当てたり、弱点強化に当てたりすることも意味している。音声言語と文字言語では、語彙・文法・内容理解などにおける扱いに共通点がある。松野(2011)は、文字と音声の関係を定着させるためにもリスニングを「強力な助け」とし、「圧倒的に不足する授業時間を効率よく使うには、文字と音声英語の間の対応関係の確立が不可欠」だとしている。本カリキュラムでは、リーディング力を伸ばすためにもリスニング力の強化を図っている。それは長文を見ることに対する恐怖心を軽くするために、リーディングにも音声をつけたり、あるいは文字言語を伏せリスニングに転じたりすることで、―44―中部大学教育研究No.18(2018)図2英語でのコミュニケーションに必要な要素Listen(wordlevel)Understand(wordlevel)Understand(sentence level)Listen(sentence level)Pronounce(wordlevel)Pronounce(sentence level)meaningspellinggrammarsoundsprosodyListenReadSpeakWrite

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