中部大学教育研究18
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1はじめに2011年度に新教育改革により開講された「日本語スキルA」は2018年度で8年目を迎える。この科目は、大学生に必要な日本語の運用能力の基礎を学ぶ科目として全学的な要請の下で設置され、大学1年生向けに開講されたものである。現在は春学期に工学部・経営情報学部・応用生物学部、秋学期に国際関係学部・人文学部・生命健康科学部・現代教育学部に開講され、春学期の全学部、国際関係学部、人文学部コミュニケーション学科の学生には卒業要件となっている。卒業要件となっていない学生にも履修の機会は保障されており、年間の履修学生数は約2,300名である。1クラス約40名規模での開講であり、開講数は約70クラスである。「日本語スキルA」は2011年度から2017年度までは現代教育学部共通教育科が担当し、2018年度より人間力創成総合教育センター人間力基礎教育部語学教育プログラムのもとに移行し、専任教員2名、兼担教員6名、非常勤講師7名で授業を運営している。シラバスに記載されている「日本語スキルA」の「カリキュラムにおける科目の位置づけ」は以下のようなものである。全学共通教育科目の「スキル科目」に属する科目である。中部大学の基本理念・教育目的にもとづく大学教育を受けるために、学部学科に共通して必要となる学びのスキルの習得を目的とする。この科目では特に、学部や専門分野にかかわりなく、日本語に関する基礎的な知識・素養を身に付け、大学生の基礎スキルとしての日本語運用能力の向上を目指す。すべての学部学科の教育目的につながる基礎的な科目の一つである。これに基づき、現行、全てのクラスにおいてほぼ同じ内容と進度で展開している。また、「日本語検定」(特定非営利活動法人日本語検定委員会主催)の受検を推奨し、日本語検定3級に合格できる力をつけるという具体的な目標も初年度から掲げることとした。本稿は、「日本語スキルA」の実践について報告するものである。なお、「日本語スキルB」は2011年度以降入学の2年生以上を対象に2012年度から開講され、「日本語スキルA」より高度な内容を扱うものであるので、本稿では言及しない。2「日本語スキルA」の授業2.13つの柱とそれぞれの目標「日本語スキルA」では下記の①~③という具体的目標を設定している。①「日本語の基礎知識」敬語や文法の語学的な基礎を理解し、日本語を誤りなく使用できること②「書くこと」わかりやすい文章を書く際の注意点を理解し、最終的に約800字の小論文を書くこと③「話すこと」わかりやすい話し方を工夫し、人前に出てスピーチの経験をすること半期の授業のみで大学生として研究活動を行うため―27―「日本語スキルA」の実践報告千葉軒士*1・寺井一*2要旨2011年度の新教育改革が行われた際に新設された「日本語スキル」は2018年度で8年目を迎える。この科目は、大学生に必要な日本語の運用力の基礎を学ぶ科目として、全学的な要請の下で大学1年生向けに設置されたものである。本稿では、そのうち「日本語スキルA」の8年間の活動内容について報告を行う。また、全学的な支援を受けている日本語検定の実施状況についても報告する。キーワード日本語スキル、日本語検定*1現代教育学部講師*2現代教育学部教授

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