中部大学教育研究18
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図9では複数回答の場合、組み合わせをそのまま集計して表示しているが、図10と図11では組み合わせがかなりの数になるため複数回答の場合、別々に集計している。たとえば、図10において「授業前、休み時間」という回答は「授業前」と「休み時間」に分けて集計してある。図9から明らかなように、Quizletを使用する媒体としてはスマートフォン(スマホ)が圧倒的である。図10、図11からは、多くの受講生が空き時間や通学時間など、いわゆる隙間時間を効果的に利用している様子がうかがわれる。最後に自由記述について簡単に見ておこう。「Quizletの良かった点」(Q11)に関する記述をまとめたのが、図12である6)。図12Quizletの良かった点「発音」は「発音が聴けること」、「リスニングの練習になる」「話す練習になる」など、音声に関する言及のあるもので、全体の4割ほど(70/182=38.5%)を占めた。「便利」は「使いやすい」といったアプリそのものの便利さに触れた意見と「どこでも使える」といった手軽さに関する意見の両方を含んでいる。「効果的」は、「発音がうまくなった」「よく覚えられた」など、学習効果を実感したという意見をまとめたものである。「日本語」はその場で日本語で意味が確認できるという趣旨の意見をまとめたものである。「機能」については、「ゲーム機能」をはじめとするQuizletの多彩な機能に触れた意見をまとめたものである。次に「困った点」(Q12)について見てみよう。自由記述を内容によってまとめたのが図13である。図13Quizletの困った点・改善希望点もっとも多かったのが「特になし」で多くの受講生がQuizletの機能に満足していたことが分かる。「別単位」は、チャンク単位以外の単位(たとえば、文、パラグラフ、章など)のカードが欲しいという要望、「不具合」はアプリ使用中になんらかの不具合があったという訴えである。ただし、スマホやPC、インターネット環境のようなアプリ以外の問題に関するものも含めてある。「速度」は「英語音声が速すぎた」という訴えであるが、ブラウザを使えば速度が調整できるということが十分伝わっていなかったための意見だと思われる。「英語だけ」は「英語の音声だけを自動的に流せるようにしてほしい」という要望、「日本語」は文全体、章全体、といった大きな単位の日本語訳がほしいという要望である。前者については母語話者の音声(150wpm程度の通常速度と100wpm程度のゆっくりのもの)が準備されているし、後者についても全訳が用意されているので、Quizletに実装できれば便利だとは思うものの、既に対応済みであるとも言える。結語カセットテープが擦り切れるほど再生・巻き戻しを繰り返して外国語のスピーキング・リスニング学習を行ってきた筆者にとって、SONYのICリピータ機能付きカセットレコーダの登場は大きな朗報であった。それから30年ほどの時を経て手にしたQuizletはまさに夢のようなツールに思われる。その優れたツールの恩恵を一人でも多くの受講生に享受してもらいたいという思いで開発した教材であったが、多くの受講生が積極的に利用し、その効果を実感していることが確認できた点は大変嬉しく思う。受講生には毎授業後にコメントを書いてもらっているが、表1の③や④の後に⑤、⑥を行ったり、⑨、⑩の後に⑪、⑫を行った回では「これを続ければ英語が―14―中部大学教育研究No.18(2018)

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