中部大学教育研究18
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図4-3開発教材(その3)画面の「▲」マークをクリックする(あるいはキーボードの矢印キーを押す)とカードの表面が連続して表示されるため、図4-1~図4-3のように英語を表に表示した状態でこの作業を行えば、英文のみが連続して表示/読み上げされることになる。逆に、日本語を表に表示した状態で行えば、和文のみが連続して表示/読み上げされることになる。この教材の使い方として、少なくとも表1に示した12通りが考えられる。「見る」は音声を流す場合と流さない場合の両方があり、それぞれを別に数えると、この部分だけで12通り、「見ない」の6通りと合わせると18通りの使い方が考えられる。表1教材の使い方①はチャンク単位のリピーティング、またはシャドーイングである。⑦は同じ作業を文字を見ながら行うもの。②はディクテーションである。⑧は文字を見ながらの書き取りで、スペリング定着のための一手段として使うことができる。③、④、⑨、⑩は日本語を通した内容確認の作業であり、英語を英語として理解できるようになれば不要となるものである。⑤、⑥、⑪、⑫は、チャンク(話す際に息継ぎで分けられるような意味のまとまり)単位の和文英訳であり、英語による発信の基礎訓練となるものである。それぞれのやり方が4技能のどれに焦点を当てたものであるかを示したのが表2である。ただし、⑦~⑫については、読み上げ機能を用いない場合のみを挙げてある。表2それぞれの学習法が置く重点4リーディングと音声学習の重要性本稿で報告する授業実践の対象クラスである「英語スキルⅠ/Ⅱ」「英語スキルⅢ/Ⅳ」の主要な目標は「リーディング・ストラテジーを使って読解ができるようになること」である。音声に重点を置いた指導はこの目標にそぐわないように思われるかも知れないので、この点について触れておく。読解研究によってもたらされた重要な成果の一つとして、読解には、たとえそれが黙読であっても、音韻処理が介在する、という知見がある(Rieben&Perfetti,1991)。逆に言えば、文字を見て音韻化がスムーズにできないと読解に問題が生じる、ということである4),5)。したがって、読解力向上のためには、音声学習を欠かすことはできない。また、当然のことながら、文字を正確に音声化できるためには、その音声が聴き取れ、再生できる(発音できる)ことが前提となる。受講生にこの点を理解してもらうために、授業では最初の時間に図5を含むスライドを用いて読解のメカニズムに関する解説を行なっている。図5読解に関する解説スライドの一部―9―Quizletを活用したスピーキング・リスニング指導

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