中部大学教育研究18
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強い結果を得ており、これらの関係から、授業内容が難しいと感じても教員の手段や工夫といった前向きな取り組み姿勢がみられることが、魅力ある授業であると学生に伝わる傾向が得られている。教員の授業自己評価の平均ポイントの推移をみると設問8「学生の立場に立った魅力的な授業ができましたか。」を始め、若干減少傾向とみることができる。これはFDの認識・共有とともに教員自身が厳しく自己評価してきていると、とらえることもできよう。いずれにせよ授業評価においては、選択形式の設問のポイントを意識するだけではなく、多くの学生から届けられている“生の声”(自由記述)に真摯に応えていくことがさらなる授業改善に繋がっていくといえる。そして、授業評価の回答率を上げることばかりにとらわれることなく、全学を挙げて授業評価から得られた結果を基にさらなる授業改善に繋がっていくよう非常勤講師も含め、教員の意識を高めるように、FD委員会から全学に情報発信を続けていくことが重要である。4.今後の全学FD活動重点目標『魅力ある授業づくり』への取り組みに向けた課題と展開以上の結果から、2008年度から10年間にわたって取り組んできた『魅力ある授業づくり』は、着実にその成果を上げていると判断できる。それは、授業評価の自由記述や評価ポイントの関係から、本学の学生がどのような授業を望んでいるのかを分析し課題を見出し、様々な企画をFD活動WGのメンバー以外に、有志の教員が参加して提言していったことで本学らしいFD活動が実現していったのではないだろうか。すなわち、「明るく、楽しく、元気があるFD活動」が、「草の根のごとく浸透するFD活動」として全学FD活動のみならず各学部等におけるFD活動のさらなる実質化にも繋がってきており、これらの諸活動は「学外にも広く公開しているFD活動」としてホームページや学内広報誌を通して学内外に様々な形で公表して評価を仰ぎ、この10年間で中部大学のFD活動のかたちをつくってきた。今後は、本学のさらなる教育力向上に繋がるものとして、こうした様々なFD活動を引き続き持続的に実施していくことが重要である。Webを利用した授業評価においても回答率を上げることだけにとらわれることなく、授業評価から得られた結果に基づいてさらなる授業改善に繋がっていくように全学を挙げて教員の教育力向上に向けて、支援を推進していく必要がある。さらに、2013年度、2017年度に実施した「中部大学発『魅力ある授業づくり』作品コンクール」が、教育のあり方について学生と教職員がともに考える機会となり、『魅力ある授業づくり』についての意識を共有することに繋がったといえる。手探りの中で始まったFD活動が、さまざまな試みを行った結果10年を経て定着し、全体として、中部大学独自の行動指針に基づいた特色あるFDのかたちが固まってきたといえよう。行動指針についてはぶれることなく、今後の新たな展開を提示し、これまで残されてきた課題についても積極的に取り組んでいく必要があり、今後の展開として、以下の2点が挙げられる。1点目は、「教員キャリアアッププログラム」への職員参加を意識して、「キャリアアッププログラム」に名称変更したように、大学の発展のために、学び続けたいと考える教職員の要望に応えるような研修プログラムの充実である。FD(FacultyDevelopment)とSD(StaffDevelopment)の活動を連携させ、必要に応じて大学の各部署と協力しながら、さまざまな企画を考え実施することが、大学全体の教職協働の推進へとつながるであろう。2点目は、「中部大学発『魅力ある授業づくり』作品コンクール」以外の、学生も参加する―89―

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