中部大学教育研究17
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1はじめに1.1臨床工学技士とは臨床工学技士とは、医師の指示の下に、高度化・複雑化した生命維持管理装置の操作および保守点検を行う事を業とする「医療機器の専門医療職種」である。医療機器の安全確保と有効性維持の担い手として、医師をはじめ看護師などと共に、医療機器を用いたチーム医療の一員として生命維持をサポートしている。この臨床工学技士となるためには、「臨床工学技士法」(1987年5月制定)により定められた学校を卒業し、臨床工学技士国家試験(以下、国家試験)に合格する必要がある。1.2臨床工学科とは中部大学生命健康科学部臨床工学科(以下、本学科)は、工学的知識を備えた上で、高度化・複雑化した生命維持管理装置の操作および保守点検のみならず、管理や開発まで担うことのできる臨床工学技士を育成するため、中部大学工学部における教育実績と、併設校の中部大学技術医療専門学校における臨床工学技士養成実績を継承し、2010(平成22)年に設置された。本学科を卒業することで、「臨床工学技士法」に定められた学校を卒業したと認められ、国家試験の受験資格を得ることができる。2国家試験2.1国家試験の概要国家試験は、臨床工学技士法により、毎年3月の第1日曜日に施行されている。その出題範囲は多岐に渡り、最新版である「平成24年版臨床工学技士国家試験出題基準」では、科目が「医学概論、臨床医学総論、医用電気電子工学、医用機械工学、生体物性材料工学、生体機能代行装置学、医用治療機器学、生体計測装置学、医用機器安全管理学」の9つに分類されている。これら各科目がさらに大項目、中項目、小項目に細分化されており、各項目の総数は大項目123、中項目408、小項目1,339と膨大な範囲となっている(図1)1)。この出題範囲から、五肢択一の180問(午前90問・午後90問)で構成されている。―83―臨床工学技士教育のためのe-learningシステムの構築と検討-臨床工学技士国家試験対策-小嶋和恵*1・福田信吾*2・児玉泰*3・当間健夫*3・武田明*4要旨今回、臨床工学技士教育のための臨床工学技士国家試験対策用e-learningシステムを構築・運用した。その利用状況を、学習管理システム(LMS:LearningManagementSystem)を構築することなく、コンテンツ使用者の利用履歴を把握できる「スコア管理機能」から得られたデータにて検討した。このデータを使用することにより、従来のアンケート調査では把握することが困難であった、「時間帯別、日付別、科目別、年度別」といった、より詳細なe-learningシステムの利用状況を把握することができた。より教育的効果の高いe-learningシステムとするためには、具体的な学習方法の指導、国家試験での正解率の低い科目でも取り組みやすい学習教材の準備といった、さらなる教育的な方策が必要であることが分かった。少しでも学生の自主学習に役立つシステムとするべく、今後もシステムに改良を加え、運用を継続していきたい。キーワードe-learning、臨床工学技士、国家試験*1生命健康科学部臨床工学科助手*2生命健康科学部臨床工学科講師*3生命健康科学部臨床工学科准教授*4生命健康科学部臨床工学科教授

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