中部大学教育研究17
93/224

の記録をまとめ授業終了後に提出した。またクラス全体では、ふれあった「親子の紹介」「遊びの結果と考察」「インタビューの結果と考察」「親子の健康課題」を発表した。子どもの発育発達のアセスメントはされているか、子どもを育てる親の思いや生活の様子を捉えられたか、計画から実施、考察までの一連の過程を評価できているか、親子の課題を考えられたかをまとめと発表の視点とした。親子ボランティア参加型演習の個人の振り返りは、「乳幼児期の子どもとその親に必要な支援-親子とのふれあいを通して-」をテーマとするレポート提出を課題とした。写真2計画した遊びを実践させてもらう学生達写真3親子ボランティアからの感想を聞く様子3演習プログラムにおける留意点と学習効果3.1安全確保のための環境整備親子ボランティア参加型演習プログラムでの最大の留意点は、親子の安全確保である。学生が学習に集中するには、ボランティアとして参加する親子が安全に過ごせて、必要以上に緊張することなく学生とふれあう環境の確保が必須である。しかし演習場所である学内実習室は乳幼児期の子どもが集うことを十分に想定して設計されてはいない。また、参加者は教育活動への関心の高いボランティアであり、インタビューする学生の気持ちを考え丁寧に向き合ってくださるため、この間、母親の目は子どもから離れがちになりやすい。そのため、子どもの発育発達を捉え、子どもの目線に立った環境整備が何よりも必要となる。前述のコンセントのみならず、段差、柱や出入口の角、扉の開閉、滑りやすく堅い床面、実習室に設置されている洗面所や入浴施設など配慮すべき点が多々あった。インタビューをするときに親の目が離れても事故を起こさないという視点での物理的環境の整備が求められることを学生が理解できるよう指導した。また、子どもから目を離さないために、インタビュー中には必ず誰かが子どもと遊んでいる状態をつくり、人的環境を整えるようグループ内での役割分担もインタビュー計画に含めることを指導した。学生が提供する遊びの安全面については、グループワークやクラス全体での企画発表の質疑応答において徹底して議論し検討した。3.2参加者の満足感と学生の成功体験次に、本プログラムが子どもにとって楽しめる時間となることを考えた。参加してくださる子どもが楽しく過ごせることは母親の満足感につながり、参加者の表情から学生は成功体験を蓄積し学びを深めることができる。子どもが楽しい体験をすることは、親子ボランティア参加型演習の目的を達成するための大きなポイントであるといえる。そのため、受付では、初めて出会う子どもとの距離感に留意した声かけや子どもがその場で楽しめるシール貼りを行った。また、子どもが実習室という場に慣れるために自由に遊べる時間を確保し、月齢/年齢にあった遊びができるようおもちゃや絵本の準備をした。このような導入は実際の保健師活動においても行われるものである。本演習においてその準備は主に教員が行ったが、受付時からの関係づくりの工夫も保健事業の一環であることを模擬的に学生に示す機会となった。また子どもが楽しめるためには、子どもの生活リズムに合わせたスケジュール設定も重要なポイントである。子どもの活動時間である午前中に演習を実施し遅くとも12時には昼食を摂れるように時間を設定した。授乳が必要な乳児もいたため、授乳室として使用できる部屋の準備もした。学生が子どもと遊ぶ場面では、教員は見守りながらうまくいかないときには助言をしたり、学生が主体となるよう配慮しながら一緒に遊んでみせたりした。3.3ボランティアへの説明と参加の依頼親子ボランティアへの依頼にあたっては、親子の安全確保を最優先として、親子の希望に従い、参加の可―79―親子ボランティアの参加を取り入れた公衆衛生看護学演習プログラムの展開

元のページ  ../index.html#93

このブックを見る