中部大学教育研究17
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やかである。・学習内容はピアとの相互作用によりグループによる差が生じる。・課題遂行は曲線的でピアとの相互作用による深まりも期待出来る。・ピアとの協力によって課題を遂行するため、主体的な学びにつながる。本実践では、読解文要約の課題遂行にピア・ラーニングを取り入れた。個人の要約文とグループ要約を比較すると、どのグループも確実にレベルが上がっており、課題遂行の点において本実践は有効であったと言える。また、学習者の内省、評価共に上記に示したとおり概ね好評であり、高い評価が得られた。さらに、当初の目的に入れていなかった広義の学習目的への言及も見られ、ピア・ラーニングの可能性を再確認することができた。しかしながら、グループワークの際の母語の使用を制止しきれない、通常の授業より時間を要する点は無視できない。また、ピア・ラーニングを好まない学習者が存在することも忘れてはならない。今後は、実践方法、課題作成に創意工夫を加え、より効率的で学習者の満足度も高く、ピア・ラーニングの特徴を生かした実践を模索していきたい。参考文献清水慶子(2016)「苦手意識を軽減する口頭表現授業の実践-ピア・ラーニングの視点から-」『日本語教育方法研究開始』Vol.23No.1pp.44-45舘岡洋子(2005)『ひとりで読むことからピア・リーディングへ日本語学習者の読解過程と対話的協働学習』東海大学出版会田中敦子(2009)「ピア・ラーニングによる日本語翻訳クラスの可能性-上級レベルの口頭表現力の向上を目指して-」『留学生教育』第14号,pp.57-64―57―上級日本語クラスにおけるピア・ラーニング

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