中部大学教育研究17
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教員全員が研究分野を含めた自己紹介をおこない、学生が共鳴できる専門分野をもつ教員に就き、対外的に発表できるプロジェクトを組むもの。上記の案を教員2人以上で1組を作り、学生がその組に就く形式のもの。あるテーマを設定し、教室全体で意見を交わし、学生自身がそのテーマに関連した事柄に対し調査をおこなうもの。この中で、の場合は一般にゼミと呼ばれるものであり、複数の教員が一堂に会する必要はない。そこで、とが議論されたが、は学生の要望に応えられない可能性があるとの判断で、の方法で進めることとなった。4「ハイブリッド・プロジェクトA」の実情「ハイブリッド・プロジェクトA」の科目が開講されたのは2016年度秋学期である。教員も学生も初めての試みであり、大まかな予定は立てていたが、学生の要望に沿うためには、その予定はあまり意味を成さなかった。柔軟に対応できるようシラバスでは表1のようにあえて簡潔な内容説明にし、履修する学生の要望に柔軟に対応できるようにした。初回の「ハイブリッド・プロジェクトA」を履修した学生は10名であった。そして、担当する教員は6名、ハイブリッド・プロジェクトの発案者である中山も毎講義参加した。2016年度秋学期におこなわれた「ハイブリッド・プロジェクトA」の講義内容を表2に示す。毎回、授業の最初に教員、学生の区別なく提起者を立て、提案者の気になっている話題や、調べたことなどを発言する。その発言に対して、学生や教員が自分の意見を述べる。そういった方法で毎回の授業が成り立っていった。第1講の終わりに、伊藤から第2講で提起する話題を予告した。予告をすることで、学生や他の教員はその話題に対して予習や意見を準備することができ、発表後の議論が活発になることを期待できると考えたからである。伊藤が提起した内容は「国歌」である。日本の国歌である「君が代」は暗いイメージがあるが、他の国歌と比較したことがあるのか、「君が代」は短調なのか、「君が代」よりテンポが遅く暗いイメージの国歌はないのかなど、学生が議論しやすいテーマを提供した。また、そこに教員が参加し、多角的に物事を捉える手法を学生に提供できればと考えた。そのため、答えのないテーマを提案することに力点を置いた。それが功を奏し、第2講では、伊藤の提起した内容から活発な議論がなされた。伊藤はメロディーラインや調、リズムといった方面から国歌を読み解いていったが、他の教員からは「近代国家」そのものの在り方に議論が及び、国旗、法、民族などに話が膨らんでいった。そのような中で、学生はそれぞれがもっている持論をしっかり発言し、それに対して教員がコメントを述べていった。表3にもあるように、教員は提起者の発言を受け、自分の専門分野とどういった関わりがあるのかを考え、授業で発言することにより、多方面の分野に話が及ぶ。そして、学生は1つの物事が多方面と関わりがあることということを実感できていることが窺える。それは学生だけではなく、教員間でも窺える。その議論を受けて、自分はこんな発表をしたい、みんなに訊いてみたいといった内容を持つことができ、以降の授業で提起していくこととなる。「教員が先、学生が後」といった決まり事もなく、学生から率先して提起が起こった―46―中部大学教育研究No.17(2017)表1シラバスより1213243546571829110211 3124131142153表2各講の実際の主な流れ1 9/21 2 9/28 3 10/5 K4 10/12 B5 10/19 J6 10/26 N7 11/9 I8 11/16 L9 11/23 WalmartG10 11/30 E11 12/7 OL12 12/14 D13 12/21 C14 1/11 HFA15 1/18 16 1/25 B

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