中部大学教育研究17
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フレッシュマンテストの結果と実力テストの結果について相関を調べてみたところ、全体としては有意確率.000未満でrs=.846という高い相関が見られたが、レベル毎に分析したところ、表10のようになった8)。表10フレッシュマンテストと実力テストの相関また、フレッシュマンテストと実力テストの平均点の変化についてWilcoxonの符号付き順位検定を行ったところ、全体としては有意ではなかったが、レベル毎に分析した場合、上級と初級においては差は有意であった(有意水準は.05)。また効果量については上級では小(r=.15)、初級では中(r=-.33)であった9)。以上のことから、英語力に関して、上級と中級においてはほとんど違いが見られなかったが、初級においてはある程度の伸びが見られたと言えるであろう。全体としては上記の通りであるが、個々のケースを見ていくと、大きく得点を伸ばした受講生もいれば、大きく得点を減らした者もいる。具体的な数字をあげれば、伸びた受講生が946名、変化なしが198名、点を落とした受講生が884名という結果であった。点を落とした受講生より伸ばした受講生の方が多いのは喜ぶべき点であるが、それでも点を落とした学生及び変化のなかった学生が相当数いるのは残念である。さらに、フレッシュマンテストおよび実力テストと、到達度確認テストとの相関を調べたところ、表11のようになった10)。なお、有意確率は全て.000未満である。表11フレッシュマンテスト/実力テストと到達度確認テストとの相関到達度確認テストは真面目に準備さえすれば高得点が期待できるため実力以上の得点を取る可能性は否定できないが、それでも到達度テストの全ての項目とフレッシュマンテストおよび実力テストの間に有意な正の相関がある点は注目に値する。また、平成27年度の場合と同様に、相関の強さに関して、秋学期については4つの問題のうち、「英日」の相関が最も弱く「文法」、続いて「方略」との相関が高い。つまり、問題数が多くなった場合、文法問題、読解方略に関する問題の方が単語に関する問題より実力を反映しやすい傾向にあるということが言えるかもしれない。5単位が取得できない理由最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の取得に至らなかった受講生について分析しておきたい。なお、以下は平成27年度にも見られた傾向である。毎回の積み重ねを重視する「英語スキルⅠ/Ⅱ」では、理由なく欠席が3回を超えた場合、つまり4回以上欠席した場合、自動的に不可と判断することになっている。つまり15回の授業のうち最低でも12回(80%)の出席が要求される。表12に示すように、成績と出席率にははっきりした関係があり、春学期と秋学期のいずれにおいても単位を取得できなかった学生の出席率は極めて低い。表12成績と平均出席率単位未取得者(E評価)について言えば、春学期は77名(41.6%)、秋学期は134名(51.1%)が規定の出席率を満たしておらず、自動的に不可になったと考えられる。この傾向は再履修者ではより顕著であり、表13に示すように、単位を落とした再履修生の出席率の平均は半分に満たない。表13成績と平均出席率(再履修生)授業に魅力を感じず出席率が低くなった可能性は否定できないが、履修登録後1度も出席していない受講生もいる。その数は、通常の履修生では春学期、秋学期それぞれ17名(N=2,688,0.6%)と12名(N=2,422,0.5%)、再履修生では春学期、秋学期それぞれ6名(N=206,2.9%)および33名(N=300,11.0%)である。これらの受講生については授業内で―42―中部大学教育研究No.17(2017)

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