中部大学教育研究17
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1はじめに平成23年度の全学共通教育のカリキュラム改訂以来、全学英語教育科では全学共通教育科目のスキル教育科目として「英語スキルⅠ/Ⅱ」を実施し1)、当科目の基本方針や実施方法、授業内に実施した到達度確認テストの結果について、大門他(2010,2011,2012,2014、2015)、和田他(2013)で報告してきた。本稿では、開講後6年目を迎えた「英語スキルⅠ/Ⅱ」の結果について報告する。2フレッシュマンテスト・到達度確認テスト・実力テスト入学時のフレッシュマンテストの成績により、受講生は上級、中級、初級の3つのレベルに分けられる。教科書および教材は全学英語教育科の教育方針に沿って作成した独自のものである2)。春学期と秋学期の最後に、授業内容の定着を確認するための到達度確認テストを実施しているが、その内容は()英語を日本語にする語彙問題、()日本語を英語にする語彙問題、()文法に関する問題、()読解方略に関する問題である。ただし、上級の受講生については、より高度な語彙問題を追加し、実力に応じた学習が行えるように配慮している。また、秋学期には授業内容とは独立した実力テストを実施し、フレッシュマンテストの成績と比較することで、英語力の変化の確認を行っている。以下、3節では到達度確認テストの結果について、4節ではフレッシュマンテストと実力テストの結果について報告する。また、5節では単位の取得に至らなかった受講生について、出席率およびフレッシュマンテストの成績の点から分析を行う。なお、平成30年度からの到達度確認テストの内容改定を視野に入れ一部のクラスでは従来の到達度確認テストとは異なるテストを実施したためそれらのクラスの到達度確認テストの結果については本報告には含まれていない。また、再履修者については、フレッシュマンテストの受験年度が異なること、および、春学期または秋学期のみの受講生がいることから、5節でのみ考察の対象とした。なお、今回の報告では、前回の報告(大門他,2015)同様、授業内で実施しているテストの結果だけでなく、単位の取得に至らなかった学生に関する分析も行う。3到達度確認テストの結果3.1春学期春学期の到達度確認テストの受験者は、初級236名、中級1,756名、上級278名の合計2,270名であった。レベル毎の結果を表1から表3に示す。なお、分析にはSPSSStatistics24(MacOSX版)を用いた。―35―平成28年度の全学英語教育に関する報告大門正幸*1・今村洋美*1・加藤由崇*2・西村智*1・野田恵剛*1・和田珠実*3要旨平成23年度に全学共通教育の大幅なカリキュラム改定が行われた際、全学英語教育科では新たな基本方針を策定し、それにしたがった教育を実施してきた。また、それ以降、教育の内容・成果・課題について本誌を通して全学に向けて報告を行ってきた。本稿では、平成28年度の全学英語教育について、報告を行う。報告の内容は、各学期末に実施している到達度確認テスト、入学時に実施されているフレッシュマンテスト、秋学期の終盤に実施している実力テスト、それぞれについてである。また、成績と出席率の関係について分析し、単位の取得に至らなかった受講生について、主たる原因が欠席の多さにあることを示す。キーワード英語教育、到達度確認テスト、フレッシュマンテスト*1全学共通教育部全学英語教育科教授*2全学共通教育部全学英語教育科講師*3全学共通教育部全学英語教育科准教授

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