中部大学教育研究17
37/224

講群F(1,345)=11.84,p<.001,η2p=.07;統制群F(1,345)=0.74,ns,η2p=.004)。これは、受講効果に関する仮説1に沿う結果であった(Fig.1)。また、仮説の検証には直接関係しないが、事前の授業力と時期の交互作用が有意であったため(F(1,345)=44.88,p<.001,η2p=.12)、事前の授業力の各水準で時期の単純主効果を検討した。その結果、いずれの群でも有意な効果が見られ、授業力低群ではスコアが高くなっていたが、授業力高群では逆にスコアが低下していた(授業力低群F(1,345)=45.00,p<.001,η2p=.22;授業力高群F(1,345)=6.95,p<.01,η2p=.04)。Fig.1FDプログラム受講の総合効果(エラーバーは標準誤差)続いて、時期の各水準で事前の授業力の単純主効果を検討したとところ、いずれの時期においても事前の授業力が高い教員の方が低い教員より授業運営評価スコアが有意に高いが、3年後(事後)にはスコアの差は小さくなっていた(事前F(1,690)=343.01,p<.001,η2p=.50;事後F(1,690)=132.40,p<.001,η2p=.29)。つまり、授業力が高い教員は、低い教員に比べて、安定的に高い授業運営評価スコアを示すが、授業力高群のスコアは全般的に低下し、授業力低群のスコアは全般的に上昇するため、時間の経過に伴いスコアの差が自然に縮まる傾向が見られたといえる。その他には時期の主効果が有意であり、プログラムの受講状況や事前の授業力によらず、3年間で教員の授業運営評価スコアは上昇していた(F(1,345)=9.59,p<.01,η2p=.03)。また、受講状況の主効果が有意傾向であり、事前の授業力や測定時期によらず、受講群の授業運営評価スコアは統制群よりも全般的に高い傾向にあった(F(1,345))=3.21,p<.10,η2p=.01)。事前の授業力の主効果も有意であり、事前の授業力が高い教員は受講状況や測定時期によらず、授業力が低い教員よりも全般的に高い授業運営評価スコアを示した(F(1,345)=310.49,p<.001,η2p=.47)。この他の主効果および交互作用はいずれも有意ではなかった。一方、学習促進評価スコアを従属変数とした場合、2次の交互作用に有意傾向が見られた(F(1,345)=3.84,p<.10,η2p=.01)。そこで、事前の授業力の各水準における受講状況×時期の単純交互作用を検討したところ、いずれの場合も有意な単純交互作用効果は見られなかった。また、受講状況と時期の交互作用も有意ではなく、学習促進評価スコアに関しては仮説1および2を支持する結果は得られなかった。仮説の検証には直接関係しないが、事前の授業力と時期の交互作用、時期の主効果、事前の授業力の主効果も有意であり、効果の方向性は授業運営評価スコアの場合と同様だった(Fs>17.37,ps<.001,η2ps>.05)。この他の主効果および交互作用は有意ではなかった。各セルの平均値(M)および標準偏差(SD)はTable4に示した。Table4授業評価スコアのMとSD(総合)3.4FD講演会の効果FDプログラム受講の総合効果に引き続き、7種類のFDプログラムごとに、2(各FDプログラムの受講状況:受講・統制)×2(授業評価スコアの測定時期:事前・事後)×2(事前の授業力:高・低)の3要因混合計画で分析を行った。FD講演会の受講状況で群分けを行ったところ、授業運営評価スコアを従属変数にしたときの2次の交互作用および、受講状況と時期の交互作用は有意でなかった。一方、学習促進評価スコアを従属変数にした場合、2次の交互作用で有意傾向がみられた(F(1,345)=3.53,p<.10,η2p=.01)。そこで事前の授業力の各水準における受講状況×時期の単純交互作用を検討したところ、いずれの場合も有意な単純交互作用効果は見られなかった。また、受講状況と時期の交互作用も有意ではなかった。以上のことから、FD講演会の受講を独立変数に用いた場合には、仮説1および2を支持する結果は得られなかった。仮説の検証には直接関係しないが、従属変数の種類に関わらず、事前の授業力と時期の交互作用、時期の主効果、事前の授業力の主効果が有意であり、効果の方向性はFDプログラム受講の総合効果の場合と同様だった(Fs>9.01,ps<.01,η2ps>.03)。この他の主効果および交互作用は、有意ではなかった。各群の平均値および標準偏差はTable5に示した。―25―FDプログラムの受講が学生による授業評価に及ぼす影響

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る