中部大学教育研究17
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なお、設問ごとに算出された10種類の授業評価スコア間には、いずれの年度においても中程度以上の相関が見られたため、因子分析により類似の内容を持つ設問を集約した。中部大学では2008年度以降、授業評価に同一の10設問(Table1)を使用しているため、非常勤を含めた全教員に対する設問ごとの授業評価スコアを9年分合併し、9相データとして分析した(N=7597)。対角SMC、MAP、固有値の減衰状況から2因子構造を仮定して最尤法でPromax回転を行った。第1因子は「設問5:授業を理解させるためのいろいろな手段・工夫は適切でしたか」「設問4:この授業に取り組む教員の熱意ある態度を感じましたか」など、教員の授業運営に関わるスキルおよび態度を評価する設問1~8の因子負荷量が高かったため、「授業運営評価」因子とした。第2因子は「設問A:あなたはこの授業に必要な授業時間外の学習をしましたか」「設問B:あなたはこの授業に意欲的・積極的に取り組みましたか」など、学生の学習時間や学習態度に関わる設問AとBの因子負荷量が高かったため、「学習促進評価」因子とした。各因子のα係数は.95と.78、ω係数は.96と.79だった。仮説検証の際には、因子内に含まれる全設問の平均値を各因子の授業評価スコアとして用いた。スコアの範囲は1~5点であり、スコアが高いほど学生による授業評価が高いことを示している。また、本研究では、2014~2016年度の3年間で生じる授業評価の伸びがFDプログラム受講群と統制群で異なるかを検討するために、事前の評価スコアとしては前年度(2013年度)の年間平均授業評価スコアを、事後の評価スコアとしては最終年度(2016年度)の年間平均授業評価スコアを使用した。2.4FDプログラムの種類と群分け方法2014~2016年度の3年間に中部大学が全学向けに提供したFD研修は5種類で、実施総数は79回だった。内訳は、①FD講演会およびフォーラム(以下、FD講演会)10回②全学公開授業14回③キャリアアッププログラム32回④FDカフェ15回⑤授業サロン8回だった。この他にFD関連コンテンツとして、⑥FDオンデマンド講義(以下、オンデマンド講義、利用申請は年1回で申請後の視聴は随時)⑦Cumoc(キューモ:ChubuUniversityMobileClicker、利用は随時)を提供した。本研究では、①~⑦を全て「中部大学で実施したFDプログラム」とした。各プログラムの内容およびタイトル例はTable2に示した(タイトルの一覧は、以下URLの「開催記録」を参照:https://www.chubu.ac.jp/fdp/)。全てのFDプログラムは、中部大学におけるFD活動の推進・支援の主管部署である「大学教育研究センター」で管理・運営し、プログラムごとに受講および利用の有無を記録した。なお、受講したFDプログラムの内容と生じた効果の対応関係を検討するために、FDプログラム受講の総合効果に引き続き、プログラム別の効果検証も行った。FDプログラム受講の総合効果については、①~⑦のいずれかのプログラムを3年以内に1回以上受講(または利用)した教員を受講群、1回も受講(または利用)しなかった教員を統制群とした。プログラム別の効果についても、当該プログラムを3年以内に1回以上受講(または利用)した教員を受講群、1回も受講(または利用)しなかった教員を統制群とした。Table2中部大学で実施したFDプログラムの内容―23―FDプログラムの受講が学生による授業評価に及ぼす影響

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