中部大学教育研究17
213/224

1はじめに2016年4月から1年間、本学の海外研究員として、カリフォルニア大学デービス校(UniversityofCalifornia,Davis,以下UCD)で研究する貴重な機会を得た。本稿ではUCDでの生活の一端と印象に残ったことを紹介させて頂きたい。2学園都市デービスUCDのあるデービス市はカリフォルニア州の州都であるサクラメントの中心部から西に約30kmに位置する小さな町である。人口は約6万5千人で、その半分ほどがUCDの学生である。学生が多いこともあり、町中では様々な人種の人たちが生活している。気候は典型的な地中海性気候であり、夏は乾燥しているが冬は冷涼で雨が多い。特に6~9月は全くと言っていいほど雨が降らず、毎日強い日差しが照りつけて火傷をしそうな程である(実際、火事が起こることもある)。写真1デービス市と近隣の農地デービス市は広大な畑に囲まれており、市内には大学と農地以外これといった観光名所や娯楽施設はない。市内の娯楽といえば映画とバーくらいで、カラオケをするだけでも隣町のサクラメントまで行く必要がある。前向きに捉えれば、研究と勉学には最適な町であると言える。現地の学生がこの町の環境をどう感じていたかは分からないが、農学系の研究者である私には、町を覆ってしまうような広大な農地は衝撃的な程美しく、見飽きることがなかった。2.1UCD(UniversityofCalifornia,Davis)カリフォルニア大学(UC)は合わせて10のキャンパスを持つ世界でも最大級の大学の一つである。日本では特にUCLA(ロサンゼルス校)が有名だが、本部校はUCB(バークレー校)である。UCDはバークレー校の農場としてスタートしたが、現在は経済、工学、理学、医学、農学部を有するUCの中でも比較的規模の大きな大学となっている。特に農学研究の分野では常に世界トップ3に入る名門校であり、世界中から多くの農学研究者が訪れる。私も農学分野の最先端の研究技術を学ぶため、PlantSciencesという学部のAbhayaDandekar教授の下で研究を行った。写真2職場(RobbinsHall)2.230年の時を経てDandekar教授の研究室に所属できたのは、私が学生であった時の恩師(山木昭平名古屋大学名誉教授)の紹介があったからである。恩師も30年前に客員研究員としてUCDに勤務していた。その時に恩師が所属していた研究室でポスドク(任期付きの研究員)をしていたのが若き日のAbhayaDandekar博士だったのである。2人は今日に至るまで交流を続けており、それが私の研究留学のきっかけとなった。理系の研究者は閉鎖的な印象を持たれがちであるが、研究を多方面に進めるためには協力者の存在が欠かせない。今回の研究留学の目的の一つは、UCDでの生―195―《海外便り》カリフォルニアの青い空-カリフォルニア大学デービス校での1年を振り返って-堀部貴紀**応用生物学部助教

元のページ  ../index.html#213

このブックを見る