中部大学教育研究17
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関係の形成についてどのような研究がなされているか文献を検討することは、文部科学省が看護基礎教育のゴールとしている対象との援助的人間関係を形成する能力を、看護を学ぶ初学者である学生が修得するためには、どのような教育方法が必要なのかを検討する上で意義があると考える。2目的看護基礎教育において患者-学生関係の形成についてどのような研究がなされているか現状を把握し、その教育方法について文献研究にて考察することである。3方法3.1対象とした文献の抽出方法医学中央雑誌Web版ver.5を用いて、文献が収録されている1983~2017年までを検索期間とした。キーワード「看護基礎教育」「患者-看護学生関係」で、論文の種類は原著論文とし、解説、会議録、症例報告は除外して検索を行い124件が抽出された。次に抽出された文献のタイトルから、研究内容別に分類した。文献数の多かった臨地実習関連83件の中で、最も文献数の多かった基礎看護学実習関連70件の、研究目的、方法、結果を抄読し、テーマと合致した14件の文献を分析対象とした。3.2分析方法抽出された文献について、標題、研究目的、方法、記述された結果を読み、内容によって分類した。4結果4.1患者-学生関係に関する文献の推移発表年代別の文献数を図1に示した。図1発表年別患者-学生関係に関する文献数1983~2017年で検索し、124件が抽出された。2001年以前の文献は抽出されなかった。発表年別文献数は、2008年1月の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正以前が43件で、2005年が17件と最も多かった。改正以降は81件で、2008年の15件が最も多かった。4.2研究テーマ別分類研究のテーマ別文献数を図2に示した。図2研究のテーマ別文献数研究のテーマ別文献数では、臨地実習関連が83件で最も多く、次いでコミュニケーション、看護技術、学内演習がそれぞれ6件、倫理、模擬患者がそれぞれ5件であった。最も文献数が多かった臨地実習関連の内訳は、基礎看護学実習(70)、老年(3)、精神(3)、在宅(2)、成人(1)、母性(1)、小児(1)、地域(1)、統合(1)であった。次にその中で最も文献数の多かった、基礎看護学実習関連70件の研究目的、方法、結果を抄読し、テーマと合致した14件の文献を抽出した。4.3患者-学生関係に関する研究の概要患者-学生関係に関する研究の概要について、標題、研究目的、方法、記述された結果を読み、内容によって分類した(表1)。抽出された文献14件のうち、13件が看護学生を対象としており、教員を対象としたものは1件であった。研究方法は、学生のレポートの内容分析が4件、面接調査が1件、質問紙調査が8件であった。教員に対しては、1名の教員の教育支援について振り返って分析したものであった。内容は大きく分けると人間関係形成と、コミュニケーションについてであった。―170―中部大学教育研究No.17(2017)024681012141618020406080100

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