中部大学教育研究17
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米国では、プレホスピタルケアにおいて静脈路確保が困難な傷病者に対し、パラメディックが骨髄穿刺を行うことが認められており、緊急時に年齢、意識レベルや体型(特に肥満体の傷病者)を問わず実施できる利点があると説明があった。そして実際に、電動式骨髄穿刺キットと1人1つの骨付き鶏肉を用いて、骨髄液吸引の実技演習を行った。学生全員が真剣な表情で、互いに教え合いながら実技演習に取り組んでいた。写真10骨髄穿刺デモンストレーション写真11骨付き鶏肉を使用した骨髄液吸引の演習を行う学生実技演習を終えてからは、NCTI内の見学を行った。トレーニングに用いる救急資器材庫や、学生数人が1チームでシナリオに基づいたトレーニングを行っている場面を見学した。NCTIの学生は皆熱心にトレーニングを行っていたが、本学の学生に気づくと笑顔で手を振ってくれるなど、フレンドリーな歓迎ぶりであった。AMRでは指令室を見学した。指令官と共に指令室のモニター画面を一緒に見ながら、緊張感あふれる実際のやりとりを見せて頂くことができた。指令室の勤務時間は12時間、2日勤務で2日休みという勤務体制で、入電から救急車の出動までは約1分とのことであった。次にAMRが所有する救急車とその車内を見学した。初めて間近で見る米国の救急車に、学生は皆興味津々の様子であった。写真12AMRが所有する救急車の前で昼食はAMR近くの公園で、AMRの職員や学生達が準備して下さったハンバーガーを共に摂った。職員が目の前でハンバーグを焼き、学生にふるまってくれた。オープンエアの開放的な雰囲気もあり、学生達の緊張した表情が和らいで、リラックスして食事を楽しむ様子が伺えた。写真13学生達に昼食をふるまうDerek氏昼食にはDerek氏も同席して下さった。共に昼食を摂る中で、自然とDerek氏を囲む輪ができ、学生が主体となってDerek氏とディスカッションする場が生まれた。通訳者を介して質問する学生もあれば、自ら英語で質問を試みる学生もあり、いずれも熱心にDerek氏と米国のパラメディックについてディスカッションを行っていた。Derek氏も学生の真剣な態度に応えて下さり、質問の一つ一つに丁寧に答え、それが更に学生のモチベーションを高めたようであった。学生とDerek氏とのディスカッションは事前に計画されたものではなかったが、「今・ここで学びたい」という学生の意欲と、それを引き出したDerek氏の熱意、通訳者のサポート、そして本研修での様々な経験等が融合して生まれた学びであったと実感している。写真14Derek氏とディスカッションする学生達―156―中部大学教育研究No.17(2017)

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