中部大学教育研究17
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危険ドラッグを人から勧められた経験があるものは63名(0.8%)であったが、他の大学においても同様な結果であった14)。危険ドラッグを人に勧めた経験があるものは10名(0.1%)であった。「危険ドラッグを誘われたら断る自信あるか」という質問に対しては9割のものが断る自信があると答えていた(図2・図3)。また、今まで薬物乱用防止教育を受けたことがあると回答しているものは6913名(89.4%)で、そのうち中学、高校で受けているものが多く、大学に入る前に教育を受けていた(図4)。本学生は、今まで薬物乱用防止教育を受けてはいるが、4割の学生が違法薬物と危険ドラッグの違いについて知らないと答えていること、知っていてもその内容にバラツキがあることから、危険ドラッグについて十分な知識をもっているとはいえない。今後、危険ドラッグの乱用を防止するには、大学でも適切な教育を行うことが必要である15)。4今後の課題今回の調査で学部生各学年の6割以上の有効回答数が得られたことは、本学の現状が表されていると考えている。本学の喫煙率は、平成21年12.6%、平成23年13.9%であったが今回の調査では大幅に5.2%と減少していた。しかし、前回と同様、大学に入りタバコを吸うきっかけがある環境があることや学年が上がるごとに喫煙率は増加し、3年生以降の喫煙率が高くなっていることに対しては大きな問題が残されている。喫煙者は朝食を摂取していない、飲酒の習慣がある、清涼飲料を摂取する頻度が多いという生活をおくっており、将来生活習慣病の発症リスクをもっていることも推測される。よって、若者の生活習慣病予防のためにも、若年者の喫煙を減らすことが重要であり、そのためには大学での喫煙予防教育を徹底する必要がある。危険ドラッグについては、今までに9割の学生が薬物乱用防止教育を受けたと回答しており、「薬物は依存性が高いこと」を多くの学生が知っている。薬物と共通するニコチン依存と同様な「依存症」という認識をもっていれば、喫煙防止対策を推進することにもなる。そして、危険ドラッグについての知識をもち、誘われても断ることができるようなスキルを身に付けることはタバコの勧誘に対しても影響されないことにつながる。喫煙予防対策および危険ドラッグ予防に共通することは教育指導であり、今後も継続的に取り組んでいくことが重要である。加えて、大学生の生活習慣や学生生活を常に把握し、非喫煙環境の整備も必要であると考える。謝辞本調査は、学生教育推進機構、学生教育部、生命健康科学部スポーツ保健医療学科の共同によって実施しました。調査を実施するにあたり本学学部生および大学院生の皆様に深謝いたします。また、配付回収の手配をしてくださいました木野瀬印刷株式会社様、学生支援課、各学部事務室の皆様、担当の先生方に御礼申し上げます。なお、この調査は、平成28年度中部大学特別研究費(課題番号:28ⅠMO7CP)を受けて調査した一部を報告するものであり、結果を新入生に配付する「たばこと薬物」に教育資料として提供することにしています。参考文献1)厚生労働省健康局健康課:喫煙と健康喫煙の健康影響に関する検討会報告書平成28年8月http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf検索日2017.9.12)朝日新聞2017.5.7朝刊3)厚生労働省:平成27年国民健康・栄養調査報告平成29年3月http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou―149―大学生の生活習慣と喫煙・薬物に関する意識調査図3友人などに危険ドラッグを誘われたら断る自信があるか図4薬物乱用防止教育を受けたことがあるか

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