中部大学教育研究17
162/224

断の受診についてはオッズ比を算出した。分析には、統計解析ソフトSPSS(StatisticalPackageforSocialScience)22.0を使用し、すべての統計分析においてp<0.05を有意水準とした。2.4倫理的配慮本調査は、中部大学倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号280089)。質問紙を配付する際に、対象者に対して調査の目的および方法、無記名による調査であること、調査は自由意志で行い、参加しなくとも不利益は生じないこと、調査と成績や単位取得とは関係がないことを文書にて説明した。3結果と考察3.1対象者の概要(表1)調査対象者は本学に在籍する学生である。今回の対象者(有効回答者)8,098名は、本学全体の71.2%であった。学年別でみると、1年生2,346名(87.8%)で最も多く、4年生1,665名(63.5%)と学年が上がるにつれて対象者が少なくなった。性別では、女子学生2,393名(29.6%)、男子学生5,705名(70.4%)で男子学生の占める割合が高かった。表1対象者の概要3.2基本属性および定期健康診断受診状況と喫煙の関係(表2)喫煙状況をみると、大学全体では喫煙者424名(5.2%)、非喫煙者7,674名(94.8%)であった。本学の喫煙率は、平成21年の調査では12.6%、平成23年の調査では13.9%であった。調査対象や調査時期が異なるためにこの結果を単純に比較することができないが、今回は5.2%と大幅に減少した9)10)。性別でみると、女子学生2,393名のうち喫煙者は41名(1.7%)、男子学生5,705名のうち喫煙者は383名(6.7%)であった。女子学生に比べると男子学生のオッズ比は、4.13(95%Cl:2.98-5.72)と有意な差があり、男子学生は女子学生に比べて約4倍の喫煙率であることわかった。学年別でみると、喫煙率は1年生0.5%(11名)、2年生1.7%(35名)、3年生9.0%(172名)、4年生11.2%(187名)、大学院生12.1%(19名)であり、学年が上がるにつれ喫煙率が上昇した(JonckheereTerpstra検定,p<0.05)。1年生と比べると、3年生のオッズ比は21.09(95%Cl:11.43-38.93)で21倍となり、4年生のオッズ比は26.86(95%Cl:14.47-49.51)と26倍になった。さらに、大学院生のオッズ比は29.23(95%Cl:13.64-62.63)と1年生と比べると学年が上がるにつれてオッズ比は上昇した。大学3年生から喫煙率が高くなるという傾向は、他大学の調査からも同様な報告がされている12)。このことから、大学生になってタバコを吸わないようにするには、新入生時に喫煙予防教育を徹底することが重要であり、このことが我が国の喫煙予防対策の取り組みになっていることを認識する必要がある。居住状況は、大学全体では一人暮らしをしているものは1,362名(16.9%)で、そのうち喫煙者99名―146―中部大学教育研究No.17(2017)表2基本属性および定期健康診断受診状況と喫煙の関連

元のページ  ../index.html#162

このブックを見る