中部大学教育研究17
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4)訪問看護師との懇談会訪問看護師との懇談会では、受講者は訪問看護師に活発に質問をし、訪問看護を具体的に知る機会になっていた。受講者は、終了後の感想で、「現場の方がチームでフォローしていくと何度も言われており、挑戦してみたいと思った。」「具体的に利点、欠点が聞けて良かった。」「初心者でも自信が持てるまで教育してくれると分かり安心した。」「詳しい労働条件や内容が聞けて参考になった。」「訪問看護師のみなさんがやりがいを持って働かれており、輝かしく見えた。一歩踏み出すきっかけになればと思う。」等、現場の訪問看護師から話を聞くことで、当初の単独訪問に伴う不安の緩和に繋がっていた。また勤務条件を知ることで復職に対するイメージが明瞭になった様子であった。5)半年後のフォローアップ調査半年後に就労状況の調査を行った。12名中9名から回答が得られた。就労状況は、パートで働きに出ている者が5名であり、内訳は、訪問看護ステーション2名、デイサービス1名、グループフォーム1名、診療所1名であった。その他の人は、半年以内に復職を考えている者1名、妊娠、介護を理由に復職予定のない者が2名いた。4考察本研究は、潜在看護師を対象とした訪問看護師人材養成プログラムのニーズとデマンドを把握することであり、大学の環境や人材の資源を活用したキャンパス型プログラムを普及させる予備調査になると考える。さらにプログラムを発展させることができれば、大学が地域に貢献できる一つのプログラムとしても有意義である。今回検討したプログラム内容や開催期間、所要時間については、受講生に行ったアンケート調査やインタビュー結果より、おおよそ受講者のニーズを満たすことが出来たと考える。その理由としては、看護の現場を離れ、子育てや家事、介護を担っている時間的余裕のない受講者を想定した研修期間や時間帯の設定をしたことがあげられる。また研修内容では、病院看護師を離職した後のブランクを考慮し、文献や訪問看護現場の実務者の意見を参考に、在宅医療に必要なミニマム・エッセンシャルズを精選するとともに、新しくエビデンスが証明された知識や技術も研修内容に取り入れたことが満足度に繋がったと考える。満足度の高いプログラムをみてみると、呼吸理学療法、胃瘻管理、在宅輸液療法、在宅医療処置概論のような医療的ケアに関する講義・演習であり、初めて見る器具やモデル人形を用いたリアルな体験は、ブランクで技術に不安を抱いている受講者にとって満足度が高かったと推測できる。写真1講義風景写真2胃瘻管理のデモンストレーション写真3訪問看護師との懇談会プログラム受講前および全プログラム終了後の受講者の自己評価の変化からは、「在宅サービス」の知識が優位に高まっていた。これは、普段、馴染みのない「在宅サービス」を知ることで知識が増えたことを意味している。一方、「多職種連携」は受講後に自己評価が優位に低下し、「観察・身体審査」「胃瘻管理」―142―中部大学教育研究No.17(2017)

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