中部大学教育研究17
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2)知識・技術20項目の自己評価の変化在宅で必要とされる知識・技術を中心に20項目について、プログラム開始前(初日)と全プログラム終了後(最終日)に自己評価「4:できる」「3:ややできる」「2:ややできない」「1:できない」の4段階で調査を行った。20項目の平均点と標準偏差を表2に示す。受講前後の自己評価をWilcoxonの符号付順位和検定をした結果、有意差のあった項目は「多職種連携(z=-2.754,p<.01)」「在宅リハビリ(z=-2.126,p<.05)」の2項目で,有意差はなかったが変化の傾向を認めた項目は「観察・身体検査(z=-1.890,p<0.1)」「在宅サービス(z=-1.667,p<0.1)」「胃瘻管理(z=-1.667,p<0.1)」「在宅輸液療法(z=-1.667,p<0.1)」であった。「多職種連携」は受講後の自己評価が優位に低下し、「観察・身体審査」「胃瘻管理」「在宅輸液療法」も有意差は認めなかったものの受講後の自己評価は低下の傾向が認められた。また、同様にプログラム開始前(初日)と全プログラム終了後(最終日)に調査した「一般性セルフ・エフィカシー尺度」および「簡便看護師職業キャリア成熟測定尺度」の測定値はいずれも有意差はなかった。3)フォーカスグループインタビューよりフォーカスグループインタビューでは、自由記述では十分に得られなかった受講者の思いを聞くことができた。訪問看護師として踏み出せない理由として、「1人で全部やらなきゃいけないが、自分にはそういう技術もなく、ハードルが高い」「すべて自分の判断に委ねられ、しっかりと頭の先から足の先まで観察して、それが自分の肩にかかってくるのが重い」「施設だと誰かに聞くことができるけど、訪問となると、自分一人で全部判断することが不安である」と技術面で自信がないため単独訪問に不安があることが一番多く語られた。それに対し「継続的に受講できる研修があるとよい」「駆け込み寺のように、相談ができて教えてもらえる場があるとよい」「技術の研修会や、訪問看護の体験会を定期的に開催してもらえるなら、訪問看護師へのハードルは下がると思った」という要望も語られた。復職する自分をイメージしながら自己を見つめなおす発言もあった。例として「勉強時間の確保が困難なため働き始めることに葛藤がある」「患者さんや家族の心を支えられるようなナースを目指そうと思い、技術は今ひとつで、経験もないが、今回のこの研修に参加することで、そんな自分でも在宅ではどんなことができるかを見極めたいと思った」「病院ではできなかったが、もっとゆっくり1人の患者に向き合って、一緒に何かしたいと思って講習を受けた」「受講して、できると思ったところと不安になったところの両方が見えた」等であった。勤務条件については「夜間帯、休日のオンコールがあると家庭との両立が崩れ負担感が大きい」「車の移動が多く事故のリスクが大変と思う」など語られた。プログラムに関する時期・期間・内容については、「期間はこれぐらいがギリギリの期間だった。これ以上長く続くと参加は厳しかった」「10時半から3時という時間帯はありがたい」「講義の内容や時間は、今ぐらいがちょうどいい」のように実施回数や所要時間は満足であると語る一方、追加して欲しい内容として、「在宅での看取り」「フィジカルアセスメント」「リンパマッサージ」「訪問看護の困難事例検討」等をあげていた。―141―潜在看護師を対象とした訪問看護師人材養成プログラムの検討図2プログラム満足度表2受講前後の知識・技術の自己評価の変化12.500.522.580.6722.170.672.170.7232.800.922.400.942.000.751.830.5851.580.781.750.7561.910.582.000.7471.920.722.080.6781.820.701.830.5893.250.751.750.75102.750.392.830.39112.170.672.080.52121.750.721.750.62131.580.521.750.62142.080.792.420.79151.580.672.000.95162.420.792.750.45172.801.032.200.63181.670.782.330.49193.200.792.500.63201.420.521.730.75SDSD

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