中部大学教育研究17
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学習者と教材を引き合わせ、最大の学びを発生させる手立てばかりでなく、「いつ」「どこで」「誰と」「どのように」学ばせるのが学生にとって最適であるかを選択できるというオプションの多様さによるものであろう。TechnologyEnhancedLanguageLearning(TELL)は、学びの可能性を拡大しているだけでなく、教える側にTechnologyEnhancedLanguageTeachingをもたらし、授業実践の可能性を多様にしている。従来の授業形態で週1回90分の授業では不可能であった学びの拡大が、TELLの導入によって可能となる。ER学科で実践しているブレンド型英語教育は、3年次の選択必須科目「科学技術英語」まで続く。3年次のこの科目は、専門領域の内容を英語で学ぶCLIL(ContentandLanguageIntegratedLearning)で、学科教員が専門的な部分をリードし、英語教員が言語習得的な部分を補助しながらF2FとSRLを構築しようとしている。英語に対して否定感を強く持ちながら入学してくる学生が、英語教員主導で英語を学習する2年間に見せた学習意欲の変化が、3年次以降や卒業後、大学院の進学後にどのような力となっているのか、学生にとって持続的な効果はあるのかを今後注視していく必要がある。また、ブレンディッドラーニング時代において、教員に要される授業力に変化があるとすれば、単にICTの機能や利用手順の知識蓄積に留まることなく、対面授業の質向上、ICT活用の質向上の両側面での教授力養成が求められ、それに合わせた教授力向上方法の追究も望まれる。参考文献Dornyei,Z.(2001).MotivationalStrategiesintheLanguageClassroom.Cambridge:CambridgeUniversityPress.57-59.Dornyei,Z.andUshiodaE.(2011).TeachingandResearchingMotivation2nded.Pearson.115-134.Ellis,R.andShintani,N.(2014).ExploringLanguagePedagogythroughSecondLanguageAcquisitionResearch.NewYork:Routledge.121-124.Nation,ISP.andMacalister,J.(2010).LanguageCurriculumDesign.NewYork:Routledge.37-68.OguriS.,AllenD.P.,KatoT.(2017)."UpontheCloud:UsingCloudTechnologytoEnhanceLessonDesign"(pp.204-205)『外国語教育メディア学会(LET)第57回全国研究大会発表要項』.外国語教育メディア学会(LET)OguriS.,AllenD.P.,KatoT.(2017)."TeacherTailors:EnhancingLanguageLearnerMotivationthroughMaterialAdaptation."(pp.100-101)The22ndPAALConference,Pan-PacificAssociationofAppliedLinguistics(PAAL).小栗成子,高丸尚教,D.P.Allen,加藤鉄生(2017).「英語ブレンディッドラーニングにおけるスパイラル的な教授法と教員の役割」(pp.296-297)『平成29年度教育改革ICT戦略大会抄録』私学情報教育協会.StockwellG.ed.,(2012)Computer-AssistedLanguageLearning:DiversityinResearchandPractice.Cambridge:CambridgeUniversityPress.VanPattern,B.(2002)ProcessingInstruction:AnUpdate.LanguageLearning52:4.755-803WalkerA.andWhiteG.eds.,(2013).TechnologyEnhancedLanguageLearning:Connectingtheoryandpractice.OxfordUniversityPress.pp.1-10,pp.145-150謝辞本研究はJSPS科研費JP16K02858の助成を受けたものである。―136―中部大学教育研究No.17(2017)

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