中部大学教育研究17
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を実力判定テスト方法に選んだ。CASEC団体受験は、語学教育センターが平成23年度から希望者を対象に年間随時試験実施しているもので、英語力を測定したい際には入学以降いつでも受験が可能である。学生自身や指導者が受験履歴をいつでも確認できるという点もCASECを導入した理由の1つである。図1のフォーカスが示すように、いずれのクラスにおいても英語情報を「聞く」ことができるようになるための発音・プロソディ(韻律)のトレーニングを強化しており、英語音声に対するレディネスを高めるため、また簡潔な英語表現の中で実際に使われている語彙表現・文法運用方法に気づくことができるようATRCALLBRIXを活用している。このカリキュラムで活用されているICTをまとめると次の通りとなる。①CALL教室またはLL教室といった語学専門環境②柔軟性の高い教材作成とLMSを備えたwebプラットフォーム「Glexa」③英語音声面での基礎力強化が特徴であるe-Learningシステム「ATRCALLBRIX」このようなICTを積極的に活用することにより、コンピュータが語学を支えるComputerAssistedLanguageLearning(CALL)を超え、テクノロジーが語学習得機会を広げるTechnologyEnhancedLanguageLearning(TELL)の実践に挑み効果的な授業実践と学習の方法を追究している。2.4学年ごとの授業デザイン表1が示すように1年次の授業では、いずれのクラスでもCALL教室が活用され、口頭での訓練を重視した授業内容の根底を、GlexaとATRCALLBRIXが支えるように授業デザインしている。A/Bクラスは週一回授業をCALL教室での45分間、演習室での45分間を1セットとして受講している。2年次は全クラスが日本語母語話者教員(JapaneseNativeTeacher。以下JNT)による授業をLL教室にて45分間、英語母語話者教員(EnglishNativeTeacher。以下ENT)によるアウトプットトレーニングを学習レイアウトの自由度が高い演習室で45分間受講している。これは、週90分しかない授業の中で、複数の教員、複数の授業形態・学習環境、複数の学習フォーカス体験し、1年次に身につけた力(特にリスニング力)を土台に話すこと、読むことへと英語力の幅を拡大しようとする取り組み方法である。表1ロボット理工学科1~2年英語授業構成1年次に英語音声への抵抗感を軽減することは、2年次にENTの教員が行うペア・グループワークを中心としたアウトプット重視の授業を受けるための準備として重要である。(表1参照)2年次、LLでのJNTによる授業では、コミュニケーション実践の土台となるインプットがペアワークを中心として行われ、ENTとJNTによる授業内容が綿密に補完し合うよう1つの授業を構成している。2年次のe-Learningは全て授業外での自己調整学習となる。1年次に自らが英語力を獲得しようとする姿勢育成がどのくらいできているかが、2年次の自律的学習の実現に与える影響は大きい。授業でのアクティビティを通してトレーニングをしたとしても、週1回の授業時間だけで学習ターゲットを定着することは容易ではない。そこで授業内容を補強、発展させるものにとして、授業での学習状況、習熟度を踏まえ、Glexaでオンラインワークを課し、自己調整学習(Self-regulatedLearning。以下SRL)を促進している。対面授業(FacetoFace,以下F2F)で学んだことを活かしてSRLを行い、SRLで得た力を活かしてF2Fにてトレーニングをする。それぞれの学習を結びあわせながら1つずつ定着したことをもとに次の学習ターゲットへ学習の幅を少しずつ広げていくスパイラルなラーニングサイクル(図2参照)が実現するよう、授業プランが綿密に練られている。図2は、このカリキュラムがめざしているスパイラルラーニングを示している。F2Fは対面授業を、SRLはSelf-regulatedLearningすなわち自律した自主学習を意味する。スパイラルラーニングの中の授業において教師が実現しようとしているのは、次の3点である。①学生が発する声(英語)が、教師が発する声よ―129―英語ブレンディッドラーニングの実践と英語学習への意欲向上

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