中部大学教育研究17
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由は、高校までの授業で最もトレーニング量が不足していると推測され、最も形成に時間を要すると考えられるスキルを最優先して身につけさせようとするためである。1年次には、『WorldLink』(ThirdEdition,CengageLearning:LevelIntro,Level1)を用いており、対面授業での重点は、音声面の力を重視しつつ語彙や文法を用いることに慣れるための口頭トレーニングに置かれ、英語学習への抵抗感の緩和と、使える英語の定着を目指した教授法が導入されている。2年次には、対話のほかにドキュメンタリーも加わる『WorldEnglish』(SecondEdition,CengageLearning:LevelIntro,1,2)を用い、書けるようになるために読むという文字情報重視のスキル強化が加えられる。また、2年次には英語母語話者教員による授業時間を確保し、1年次から準備している「話そうとする姿勢」を実際に適用し「話してみる」機会の確保に努めている。1~2年次の取り組みは、動機づけのし直しと否定感や挫折感からの立ち直りのための時間だといえる。単に定期テストを通過し単位を取得するためではなく、英語を実技の1つとし少しずつでも自分の言語力に加えていこうとする姿勢の育成である。これは3年次におけるCLIL(ContentandLanguageIntegratedLearning/内容言語統合学習)への重要な準備段階ともなっている。2.3授業体制とICT活用この英語カリキュラムでは、平成26年度の開始から現在まで、1年次は日本語母語話者教員2名(小栗、関山)が、2年次はそれに英語母語話者教員1名(アレン)を加えた3名が、各学年約80名の授業を担当している。毎年度開始前には、CASEC(英語コミュニケーション能力判定テスト)を実施しクラス分けを行っている。CASECは①コミュニケーションに不可欠な語彙の力、②コミュニケーションに不可欠な表現力、③リスニングでの大意把握力、④具体情報のディクテーションという4セクションからなっている。ER学科でのクラス分けは、CASEC総合スコアのみならず、③のリスニング大意把握と④のディクテーションのスコアを重視し、4クラス(20~30人程度)を編成している。2年次以降のクラス分けは、年度ごとの成績評価、学期ごとの推移、そしてCASECスコアの推移を検討してクラスを編成している。CASECとは、日本英語検定協会が基礎開発を行い、その後旺文社グループの(株)教育測定研究所が開発・運営を行っている英語コミュニケーション能力判定テストのことである。CASECはWebで受験をするテストで、受験時間は40分程度である。受験者の回答に合わせてテスト問題が選ばれていくコンピュータ適応型テストシステムであるため、受験者には自分の英語力よりも難易度が高いテスト問題と格闘する負担がない。また、CASECスコアは試験終了と同時に表示され、英検の級目安、TOEIC、TOEFLITPの換算スコア、Can-Doリストや学習上の助言も添えられるため、受験者本人もその時点での実力を把握でき、受験後の学習計画に役立てやすい。英語や英語試験への抵抗感が深刻な学生も大きな負担を感じることなく受験でき、リスニング/スピーキングを重視するカリキュラムに即したプレースメントが可能なことという条件に合ったものとして、CASEC―128―中部大学教育研究No.17(2017)図1ER学科英語カリキュラム学年ごとの学習フォーカス

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