中部大学教育研究17
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業後の4月15日付)について、大学卒業時点の進路状況(就職、就職活動中、進学、留年)の情報を得た。また、就職者については、就職先の企業規模に関する情報(資本金、従業員数)も収集した。2.3調査時期・調査手続き2012年度「自己開拓」受講者には2015年12月から2016年1月にかけて、2013年度「自己開拓」受講者には2016年12月から2017年1月にかけて調査を行い、就職活動状況と進路先についての回答を得た。その上で、卒業時点の進路状況の内容の提供について調査対象者に了承を得た。了承が得られた調査対象者について、就職ガイダンスの参加状況、および、大学卒業時点の進路状況、さらには、「自己開拓」受講時の担当教員について、キャリア支援課と教務支援課から情報を得た。なお、本研究は個人情報の保護に十分に留意すべく、中部大学倫理審査委員会から情報提供に関する承認を得た(承認番号:250039)。3結果と考察3.1「自己開拓」受講と就職ガイダンス参加はじめに、「自己開拓」受講群について、キャリア教育を専門とする教員が担当した群(<キャリア教育専門群>)とキャリア教育を専門としない教員が担当した群(<キャリア教育専門外群>)に分類した。その結果、キャリア教育専門群は135名、キャリア教育専門外群は37名に分類された。なお、専門群と専門外群において授業時のクラス規模、授業シラバスは同一であった。その上で、キャリア教育専門群、キャリア教育専門外群と統制群(非受講群)の就職ガイダンスの参加率の平均値と標準偏差を算出した(図1)。さらに、「自己開拓」の受講形態による就職ガイダンスの参加状況を検討すべく、一要因分散分析を行った。分析の結果、受講形態の主効果がみられたため(F(2,403)=8.46,p<.001)、単純主効果検定(TukeyHSD法5%水準)を行ったところ、キャリア教育専門群とキャリア教育専門外群において、統制群(非受講群)よりも就職ガイダンス参加率が有意に高いことが示された。3.2「自己開拓」受講と進路決定次に、「自己開拓」受講形態別の調査時点と卒業時点での進路状況を集計した(表1、表2)。なお、各時点で、就職を決定した就職群、進学を決定した進学群、進路が決定せず就職活動を継続している、あるいは、休学・退学・留年するといった、進路を決定していない進路未決定群の人数を算出した。その上で、時点ごとにχ2検定を行った結果、卒業時点においてのみ、「自己開拓」受講形態別の進路決定状況に有意な人数の偏りの傾向がみられた(χ2(4)=3.84,ns;χ2(4)=9.57,p<.05)。そこで、残差分析を行った結果、卒業時点において、キャリア教育を専門とする教員が担当した「自己開拓」を受講した者ほど就職の比率が有意に高く進路未決定の比率が有意に低かった。一方で、「自己開拓」を受講していない者ほど就職の比率が有意に低かった。さらに、「自己開拓」の受講による就職先の違いを検討するため、企業規模に注目した検討を行った。卒業時点で就職した者の中で、就職先の資本金と従業員数について回答が得られた者を抽出した。その結果、抽出されたのは就職先の資本金については329名、就職先の従業員数については332名であり、それぞれを分析対象とした。「自己開拓」の受講形態と就職先の資本金との連関については、「自己開拓」の受講形態による就職先の資本金別(1,000万円以下、1,000万円~5,000万円、5,000万円~1億円、1億円~10億円、10億円以上)の人数の偏りを検討すべく、各条件の集計を行った(表3)。その上で、χ2検定を行った結果、「自己開拓」受講群と統制群(非受講群)において、資本金別の有意な人数差はみられなかった(χ2(8)=7.26,ns)。また、「自己開拓」の受講形態と就職先の従業員数との連関については、「自己開拓」の受講群と統制群(非受講群)の就職先の従業員数別(100人以下、100人~300人、300人~500人、500人~1,000人、1,000人以上)の人数の偏りを検討すべく、各条件の集計を行った(表4)。その上で、χ2検定を行った結果、従業員数別においても有意な人数差はみられなかった(χ2(8)=3.47,ns)。3.3就職ガイダンス参加状況と進路決定「自己開拓」の受講形態によって、就職ガイダンスへの参加率の差がみられ、進路決定に差がみられるこ―93―専任教員によるキャリア教育科目「自己開拓」実施の長期的教育効果94.07%97.30%81.20%0.00%20.00%40.00%60.00%80.00%100.00%120.00%(注)エラーバーは標準偏差図1「自己開拓」受講形態別の就職ガイダンス参加率の平均値・標準偏差

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