中部大学教育研究16
92/128

(2015)で使用したものと同一であった。自尊感情(桜井,2000)は、自分を肯定的に捉え、自信があり、自分に満足している傾向を意味する。この尺度は「私は、自分に満足している」「私はたいていの人がやれる程度には物事ができる」などの10項目で構成されており、それぞれの質問項目に対して、現在の自分に最もよく当てはまる選択肢を「いいえ(1点)」から「はい(4点)」までの4段階で回答させた。進路選択に対する自己効力本尺度は、小塩他(2011)、小塩他(2012)、佐藤他(2013)、佐藤他(2014)、佐藤・杉本(2015)でも使用したものである。進路選択に対する自己効力尺度(浦上,1995)は、進路選択に対して認知された効力予期すなわち自己効力を測定する尺度であり、「自分の能力を正確に評価すること」「自分が従事したい職業(職種)の仕事内容を探すこと」「一度進路を決定したならば『正しかったのだろうか』と悩まないこと」などの30項目で構成されている。それぞれの項目についてどれくらい自信があるかを「全く自信がない(1点)」から「非常に自信がある(4点)」までの4段階で測定した。時間的展望本尺度は、小塩他(2011)、小塩他(2012)、佐藤他(2013)、佐藤他(2014)、佐藤・杉本(2015)で使用したものと同一である。より遠くの将来や過去の事象が現在の行動に影響するという時間的展望の広がりを測定するために、時間的展望尺度(白井、1991)を使用した。この尺度は「私の将来は漠然としていてつかみどころがない(逆転項目)」「毎日がなんとなく過ぎていく(逆転項目)」「私の将来には希望がもてる」などの19項目で構成されており、自分自身にどれくらい当てはまるかについて「当てはまらない(1点)」から「当てはまる(5点)」までの5段階で回答が求められた。この尺度によって測定された得点が高得点であるほど、過去や未来へと広い時間的な展望を持つことを意味する。また、時間的展望の内容を詳しく検討するため、白井(1994)の時間的展望体験尺度も加えて使用した。本尺度は佐藤・杉本(2015)でも使用している。本尺度は、過去受容(「私は、自分の過去を受け入れることができる」)・現在の充実感(「今の生活に満足している」)・希望(「自分の将来は自分できりひらく自信がある」)・目標志向性(「私には将来の目標がある」)の4つの側面からなる18項目で構成されており、過去、現在、未来という時間軸それぞれにおける展望の高さを測ることができる。自分自身にどれくらい当てはまるかについて「当てはまらない(1点)」から「当てはまる(5点)」までの5段階で回答が求められた。キャリア・アダプタビリティキャリア・アダプタビリティ(Savickas,1997;2011)とは、「変化できる資質、大きな困難なくして新しいあるいは変化した環境に適応できる資質」であり、関心、コントロール、好奇心、自信の4次元から構成されている。本尺度は佐藤・杉本(2015)が使用したものと同一で、杉本(2014)がSavickas&Porfeli(2012)やNota,Ginevra,&Soresi(2012)を参考に作成した、キャリア・アダプタビリティ尺度(29項目、5件法)であった。本尺度は関心(「今の選択が自分の将来を形成すると認識すること」)、コントロール(「前向きでいること」)、好奇心(「自分の持っている疑問について深く調べること」)、そして自信(「自分自身に期待すること」)について、「人は異なる強みを用いてキャリア(人生)を構築していきます。全てが得意だという人は誰もいません。強みとして重要視していることは人によって異なります。以下の項目について、あなたはどれほど発達させ、できるようになっていますか。」と教示し、「全くできない(1点)」から「非常によくできる(5点)」までの5段階で回答が求められた。コミュニケーション・スキル「自己開拓」はグループワークを多く行い、他者とのコミュニケーションの機会が多い授業であることが特徴である。さらに、コミュニケーション能力は多くの企業で学生に求める能力として挙げられてきており、コミュニケーション・スキルを高めることによって、満足した進路を選択できる可能性は広がると考えられる。そこで、2015年度から新たに藤本・大坊(2007)の作成したENDCORE尺度を使用した。この尺度はコミュニケーションの6つのメインスキルを測定するものであり、それぞれ「自己統制」「表現力」「解読力」「自己主張」「他者受容」「関係調整」について1項目、計6項目で構成されていた。各項目は、かなり得意、得意、やや得意、ふつう、やや苦手、苦手、かなり苦手の7件法で回答が求められた。学びの意味づけ事後調査において、各講義を受けて、学んだことはあるか、あるとしたら具体的に何かを記述してもらった。この内容は、(1)自分を知ることができた、物事の考え方が広がった、といった、自分自身についての学びに意味づけた、自己理解の深まり、(2)他の人の意見を聞く大切さを知った、積極的に発言できるようになったなど、コミュニケーション・スキルの学びに意味づけた、コミュニケーション・スキルの向上、(3)無回答、単位をもらえたなど、授業での学びに意味づけをしていない、意味づけなしの3カテゴリーに分類された。2.2調査手続き・調査対象者「自己開拓」の受講者(「受講群」とする)に対し、初回の授業で事前テスト、最終回の授業で事後テスト―80―佐藤友美・杉本英晴

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る