中部大学教育研究16
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す」「考える」「試してみる」といった思考の機会を減少させるようにも読みとれ、動画の提供に配慮が必要であると考察している13)。学生の学習傾向も踏まえた上で、動画教材の利点を最大限に活かした提供方法について、さらなる検討を要する。6研究の限界と今後の課題本研究においては、1大学1学年の学生に関する情報機器とそれを用いた動画の利用状況を明らかにし、情報機器を活用した教育をする上で、指導すべき点や動画教材の提供する上での基礎的な資料を得ることができた。しかし、今回の研究では対象は限定されており一般化には至っていない。また、これらの教材を看護技術の教育に有効に活用するためには、今後は学生がこれらの教材を、どのように利用したいと考えているかを明確にして、教材活用についての検討を要すると考えられる。情報機器を用いた看護技術の教材は、今後も発展していくことが予測され、情報機器を用いた教材を有効に活用した看護技術の教育について探究していくことが課題である。7結論本研究では以下のことが明らかになった。1)スマートフォンを利用した教材の視聴は、多くの学生にとって難易度の高い行為ではない。これらの動画を閲覧していない主な要因は、通信容量制限やWi-Fi環境の問題であった。2)動画再生ソフトを利用したパソコンでの動画は、スマートフォンを利用した教材2種類よりも視聴が困難であると感じる学生が多かった。3)動画の視聴の有無と、情報機器を普段の生活で利用している時間との、関連性は見られなかった。謝辞貴重な時間を費やし本研究に参加頂いた学生の皆様に感謝申し上げます。引用、参考文献1)穴沢小百合・松山友子(2004):わが国の看護基礎教育課程における基礎看護技術演習に関する研究の動向1991~2002年に発表された文献の分析、国立看護大学校研究紀要、3(1)、54-64.2)厚生労働省(2003):看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書.3)竹内登美子・小澤和弘・岡本恵里他(2012):開発した看護用コンピュータ教材の有効性及び個人特性が教材評価に及ぼす影響、医学教育、3(5)、369-375.4)Arhin,A.O.・Cormier,E.(2007):UsingDeconstructiontoEducateGenerationYNursingStudents,JournalofNursingEducation,46(12),562-567.5)真嶋由貴恵(2012):看護技術のスキル学習とノウハウ集約における映像活用、映像情報メディア学会誌、66(8)、645-649.6)相山ひろみ・岡田ルリ子・徳永なみじ他(2009):基礎看護技術の動画教材の開発-学生が動画教材に求める視点および生活環境の実態、愛媛県立医療技術大学紀要、6(l)、49-55.7)草刈由美子・河野かおり・山口久美子(2014)タブレット端末(iPad)を用いた基礎看護技術講義・演習の授業評価-学生のアンケート結果から、獨協医科大学看護学部紀要、8、31-38.8)加治美幸・山下美智代・佐藤みつ子(2014):タブレット型端末を導入しての看護技術演習の試み、了徳寺大学研究紀要、8、161-168.9)文部科学省(2010):教育の情報化に関する手引き.10)吉川千鶴子・中嶋恵美子・須崎しのぶ他(2012):看護技術教育のブレンディッドラーニングにおけるeラーニングシステム活用に関する研究、日本看護研究学会誌、35(2)、105-115.11)上田ゆみ子・宮内義明・堀文子(2014):基礎看護技術ビデオ学習の実態調査と学生評価、中部大学教育研究、14、21-24.12)大池美也子・末次典恵(2007):e-learning教材の開発と活用-「間違い探し」型と「お手本」型による基礎看護技術教材、看護教育、48(4)、292-297.13)菅原真優美・小山聡子・倉井佳子他(2004):看護技術の自己学習を目的とした動画ストリーミング教材の製作と評価、新潟青陵大学紀要、4、123-135.助成本研究はどの機関からも研究助成を受けていない。利益相反本研究における利益相反は存在しない。―69―看護技術教育における情報機器の活用に関する基礎調査

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