中部大学教育研究16
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いました」「語学学習だけでなく、留学についての先輩たちの様々なエピソードを聞けたので、自分の糧となるように、今度は自分で行動していきたいです」「もっと予習、復習し、CDを聞いたりしたいと思った。実際に先輩と話して、中国語をより勉強したいと思った」4.3トークセッション:国際学科を育てよう既存3学科を統合する形で発足した国際学科では、発生しうる問題について事前に充分な検討がなされてきたとはいえ、従前との比較においてカリキュラムの多様さや在籍学生の多さもあって、やはり学科運営においては手探りになってしまうところも多く、「想定外」の出来事に慌てて対応を協議することも無くはなかった。もちろん新生なった学科は、教員のみの奮闘によって作り上げられるものではない。学生と教員、職員がともに考え、知恵を出し合い育んでゆくものであるとの見地に立ち、新入生と教員、そして同じ学部で学ぶ先輩たちも交えて、生まれたばかりの国際学科について自由に討論する機会として、6月15日のやはりP.S.H.にトークセッションを開催した。参加者が自己紹介をしてのち、1年生から「入学してからの印象」が語られた。「オープンキャンパスの時に感じた時と同じ「あたたかさ」がある」「講義の内容が興味深い」「受講者が発言する機会が多い」など好印象が続く中、「授業中の私語」で議論が交わされた。参加者からは、「授業の妨害者には厳しく注意すべき」との声が上がる一方で、「貴重な授業時間を叱責に割くべきでない」との意見も出た。静謐な学習環境を維持するのは授業担当者の責務であるのは言うまでもないが、受動的な学習者たる「生徒」から、主体的な学習者たる「学生」になりきれていない受講者の意識にも問題があるとの指摘もなされた。これなどは、スタートアップセミナーでも反復して提起されるべき事柄であろう。その他にも、上級生との交流について「1年生と上級生をつなぐ場がもっと欲しい」とか、「英語をつかって「話せることの喜び」が実感できる機会をもっと作って欲しい」などといった要望が出された。上述の新入生歓迎会や語学学習懇談会などの活動や、学生が中心となる学習会などが組織されることで解決されるであろうし、それには教職員によるサポートも欠かせないものの、「交流についても学生に求められるのはやはり自発性」であり、学部自体にそのような「場を作る力」が求められるとの指摘もされた。最後に、このような会を今後とも継続的に行っていくことを確認しつつ会は閉じられた。今年度は、ピア・サポーターと新入生たちの距離を少しでも解消し、身近に感じて交流してもらうために、スタートアップセミナーのクラスに連動する形で恵那研修のグループ分けを行い、ピア・サポーターを2名ずつ各クラスに配置し、第1回目の授業時に顔合わせをしている。恵那研修でも全てが順調にすすんだわけではなかったが、ピア・サポーターは常に新入生を気遣い、各々リーダーシップを発揮していた。研修後、来年度のピア・サポーターを募ったところ、20名以上の希望者があった。この事からしても、彼らのひたむきな姿勢に憧れを感じた新入生の多かったことが知れよう。これら課外活動を実施するにあたっては、教員のみならず、恵那研修以来のピア・サポーターを中心に多くの上級生たちが力を尽くしてくれた。この場を借りて彼らに心からの感謝を表したい。5学部独自アンケート調査の結果からわかることスタートアップセミナー授業最終回に、全学での「魅力ある授業づくりのために」で行っている「授業評価」に加えて、学部独自のアンケート調査を実施した。調査対象者は、平成28年度春学期に「スタートアップセミナー」を受講した学生154名で、授業最終回(7月21日)に質問用紙【資料4】を配付してその場で回答させた。欠席者などもあったため得られた有効な回答者数は132件であった。無記名による調査である。調査内容は、1年次春学期に受講した科目についての満足、不満足を「スタートアップセミナー」「(学部の)外国語科目」「それ以外の科目」についてと、「国際関係学部に入学したことを(現時点で)どう思っているか」について、「A.どちらかというとよかった」「B.どちらともいえない」「C.どちらかというとよくなかった」の3つの選択肢を設定して問うた。また、自由記述方式で、国際関係学部(中部大学)について、「「ここはよい」と思ったこと」と「「ここはよくない」と思ったこと」、最後に「教職員への要望」を問うている。これらの質問の設定意図は、それぞれの項目についての受講者のおおよその満足度を調査したいというところと、授業担当者が認識できていない問題点を指摘してもらいたいというところにある。結果は以下のとおりであった。―60―和田知久・于小薇・大澤肇

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