中部大学教育研究16
70/128

で学ぶことの魅力や人びとと交流することの楽しさについて講演していただいた。その後、国際関係学部の留学・研修参加者3名が登壇し、自らの体験談を語ってもらった。留学・研修先での授業だけでなく、現地学生との交流や異郷での生活について、先輩たちから語られる「ナマの声」に聞き入る学生たちも多かった。3.2.3民族資料博物館ガイダンス第9回には「民族資料博物館ガイダンス」を行った。大学附設の博物館としては中部圏有数の同館は、文化人類学や人文地理学を専門とする教員が複数在籍する本学部と、その開設当初から関わりが深く、新入生に対する専門導入としても外せない施設である。ただ、150名の1年生をどう誘導するかには手を焼いたものの、結局3グループに分けて交替で見学することになった。博物館では、宇治谷副館長に施設の沿革と現在の展示の概要について解説していただいた後、学生たちは各自、課題「印象に残った展示物についてのミニレポート作成」に向けて見学した。和田のクラスでは、次回の授業でのレポート提出に加えて、ショート・スピーチのテーマとしても取り上げた。他のクラスでは、許可を得て写真を撮り、その展示物について図書館などを利用して調べた事柄をレポートしたところもあったという。3.2.4Webポートフォリオガイダンス4年間の在学中に経験、習得したいことなどについて具体的に目標をたて、その実現に向けて学年、学期ごとに到達度や成果を記録することで、自らの成長を可視化するポートフォリオ教育も国際関係学部の教育システムにおいて重要な位置を占めている。スタートアップセミナーでは、Webポートフォリオ・システムと、そのキャリア形成における意義についてガイダンスを行った。総合情報センターのPC実習室の収容人数に限りがあることから、全体を2グループに分けて実施した(第5回あるいは第6回)。3.2.5レジュメとレポートの作成と研究発表の練習文系理系を問わず全ての学生に求められるスキルであるが、「レジュメとレポートの作成」では、本学部のスタートアップセミナーでは論説体の文章を用いて、要点の把握とその提示方法を単純でわかりやすいもの(レジュメであれば箇条書きで、レポートであれば文章で)にすることで、基本的なスキルの習得が徹底できるように工夫をしている。また、参考文献リストの作成や、出典の明示、引用の方法、盗用剽窃の禁止など、学術面でのごく基礎的な作法や態度についても力を入れて解説した(第10回、第11回)。また、「研究発表の練習」では、レジュメを用いた発表と質疑応答の作法について、適宜『スタートアップセミナー参考テキスト』を参照しつつ解説した後、受講学生がひとりずつ発表を行った(第13回、第14回)。例えば、大澤講師のクラスでは以下のような工夫を行った。発表の際には全員にコメントペーパーを配布し、一行程度でよいので各発表者の良いところを書かせ、授業終了後に回収した。提出されたコメントペーパーのコメントを発表者単位で担当者が纏め直して、匿名で内容のみをPCで打ち直し、翌週学生たちに、前回発表についてのコメント集を配布した。学生たちも自分の評判は気になるようで、コメント集を食い入るように見ていた。またコメントペーパーには、その日の発表で最もよかった人物を1~3名選んで書かせた。レジュメ発表の授業は2回行ったが、各授業で集計を行い、次回の授業の最初に、前回発表でのベストプレゼンテーター賞ということで、得点の高い上位3名の名前を挙げ、表彰を行った。ただ名前を挙げるだけでなく、担当者が私費で購入した海外の小物や、図書カード、大学グッズなどを賞品として準備した。賞品が出るとなると、学生も結構な盛り上がりをみせたという。3.2.6AO入試・推薦試験合格者対象の入学前レポート表彰この項の最後に「AO入試・推薦試験合格者対象の入学前レポート表彰」について記しておきたい。今年度、本学部ではAO入試、推薦試験の合格者を対象に入学前教育の一環としてプレ講義を実施しており、その際に「ここから「大学の学び」を始めよう」として、「興味のあることを調べ、考えて、私たちに教えて下さい」とのレポート課題を出している。レポートは入学までに提出されていて、スタートアップセミナー担当者によって回覧されていたが、いずれも意欲的な佳作が集まっていた。レポート提出を求められたのは入学者の全員ではないものの、学生の「頑張り」に報いるようなことはできないか、また、その「頑張り」を他の1年生に波及させることができないかとの提案が高教授からあり、担当者ミーティングで検討の結果、特に優れたもの7点について合同クラスの際に表彰することとなった。以下に表彰された優秀レポートの題目を挙げておく。最優秀賞:「ココットパイ」「韓国メイクとファッション」優秀賞:「国内スキーリゾートの現状と国際化」「フォーラムから森林ボランティアの方―58―和田知久・于小薇・大澤肇

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る