中部大学教育研究16
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①週のはじめ(月、火曜)に取りまとめ責任者の和田が、授業の段取りについてのメモをメールにて配信する。最終的に詰めておくべき事柄がある場合は、直接ないしはメールにて相談。②授業開始前、担当者は20号館3階ファカルティールームに(可能な限り)集合し、当日の段取り全般、持参物、連絡事項などについて確認。③授業終了後、担当者は20号館3階会議室に集合し、当日の授業実施状況や学生の動向についての情報交換、今後の授業内容の確認や相談。特に授業終了後のミーティングについては、学期中盤までは毎週開催し、それ以降は隔週開催とした。それだけであれば、別段の特徴も無いかも知れないが、本学部の「チーム・ティーチング」を特色あるものとする所以は、「一定の責任分担のもとで密接な協力関係」のもとに、「指導の効率を高めるために、指導内容や方法に工夫」を重ねて実施した点にある(注2)。例えば、グループワークの際のアイス・ブレイキングをどのようにすべきかについて、心得のある担当者から具体的なアクティビティや参考書が紹介されたり、共通項目④A「大学生活の安心・安全」に関する部分では、ブラック・バイト問題についての優れた啓発パンフレットが紹介されるなどして、導入可能な担当者のクラスでの実施に到った。また、「場の形成と時間共有」の促進に大きく役立った「ショート・スピーチ」の実践についても記しておきたい。授業開始の冒頭に時間を取って、クラスの全ての学生にテーマ(その場で教員から示される)に沿って話をさせるのであるが、そのことにより「授業に来れば必ず発言する」ことを習慣づけようとしたものである。担当教員の姿勢にかかわらず、得てして受身になりがちな受講者に能動的な行為を反復的に行うことによって、授業参加の姿勢の改善を促そうというのが出発点であるが、それだけでなく、他の受講者の話に耳を傾け、自分から質問や感想を述べることへの抵抗を少なくして、演習科目内での議論の活発化やひいては就職活動時のグループ面接への対応もできるようになることを目指してもいる。3.2主な授業内容と教員による工夫についてここでは、学部独自の授業内容について紹介したい。3.2.1履修、学修進行についてのガイダンス本学は1年次の春学期は指定科目を提示して履修登録をさせるため、入学時の履修オリエンテーションでは、単位、履修申告などの新入生にとってはこれまで馴染みのなかった用語の意味、ネットワークを経由した履修申告の手続きについての解説に多くの時間を割くことになり、進級・卒業要件、『学生便覧』やシラバスの見方については、ひととおりの説明はするものの、必ずしも充分な時間をもって学生の理解を促すところまでは到らない。そこで、スタートアップセミナーの授業内で、共通項目③「大学における学びのスキル」とも関連させながら、入学時の解説を再びなぞりつつ、学部専門科目の履修にかかわるガイダンスを行うことになる。本学部においては、多様な学生のニーズに応えテーラーメイド教育を実施する観点から、自らの希望する外国語を、履修時間数の選択により希望するレベルまで学習できるようカリキュラムを組んでいることもあり、外国語学習のカリキュラムがやや複雑になっている。これは、真の国際理解に結びつけるために、1年次から英語に加えて、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、韓国語の中から1言語を選択して学び、意欲を持って取り組めば3言語の履修も可能としているからであり、英語と中国語に限っては、ハイレベルな実践語学力を身につけることも可能な「アドバンスト・プログラム」を設置しているからでもあるが、入学したばかりの1年生にとってはわかりづらいため、スタートアップセミナーでは、都合2度にわたり(第2回と第12回)学部の外国語履修カリキュラムについて説明した。また、第12回においては学部専門講義科目についても、科目間の連携や学修のレベルや順序があることを念頭に置いて秋学期以降の科目履修ができるようガイダンスを行った。また、専門分野が異なる複数の学部教員によるプロジェクト・グループに受講学生が参加し、テーマ設定から学習・研究までをチームで共同して進めて、アクティブな学びの場を作り上げていく国際学科の教育システムの中核をなす科目の一つである「ハイブリッド・プロジェクト」についてのガイダンスも行った(第12回)。学部専門基礎・専門導入としては、以下のような取り組みを行った。3.2.2国際体験ガイダンス国際関係学部では、多様な文化圏の人びとと積極的に交流し、キャンパスを飛び出して海外生活を体験することを学部教育の理念の一つとして掲げており、全学的に見ても国際センターが実施する海外留学・研修プログラムの利用者が多いことから、「国際体験ガイダンス」(第2回)を行った。当日は、国際センターから鈴木次長にお越しいただいて、本学の留学・研修制度についての事務的な説明をしていただいたあと、副センター長の喬教授から自身の経験を踏まえて海外―57―2016年度、国際学科発足1年目におけるスタートアップセミナー授業実践の試み

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