中部大学教育研究16
68/128

が、「英語スキル向上」「進級論文の作成」「学科共通テスト実施」(いずれもNN)、「民族資料博物館ガイダンス」「美術館見学」「リトルワールド実習」(いずれもNL)、「PCでの中国語入力環境導入」「北京研修成果発表」「中国語スキル向上」「中部圏の中国進出企業研究」(いずれもNC)など、各学科の特色があるものもあった。それを承けて、新学科の低学年ゼミの授業内容について検討すべき課題として作成したのが【資料2】である。「国際学科における学問分野の幅広さと習得すべきスキルや知識をどう体系化し、段階的に学ぶのか」という観点に立ち、「ポートフォリオ作成指導」や「キャリア関連講演」を低学年ゼミの各学期に配置し、派遣留学や研修の案内を含めた「国際体験ガイダンス」を1年次春学期に配置するなど、①特定のプログラムを配置すること、②2年秋学期末に中間論文を完成させるために、各学期に段階的なスキル学修を配置すること、③旧3学科の取り組みをどのように継承、発展させるべきか、④スタートアップセミナーのみ成績上位者クラスを設置すること、以上の4点について検討を重ねた結果、授業実施予定表【資料3】を作成するに到った。そこには、4つの「共通項目」に加えて、学部独自のものとして以下の内容を盛り込んだ。・国際体験ガイダンス(第2回)・外国語学習ガイダンス(秋学期「〇〇語入門Ⅰ」履修ガイダンス)(第2回)・Webポートフォリオ作成、PCの維持と国際英語e-learning教材登録(第5回、第6回)・民族資料博物館ガイダンス(第9回)・レジュメとレポートの作成と研究発表の練習(第10回、第11回、第13回、第14回)・秋学期の履修と開設科目の紹介(第12回)・ハイブリッド・プロジェクトガイダンス(第12回)・AO入試・推薦試験合格者対象の入学前レポート表彰(第12回)主な項目については、次章においてそれぞれ詳述したい。また、「国際基礎演習」以降のカリキュラム策定については稿を改めることになるが、国際学科の「スタートアップセミナー」の授業内容は、学部教育全体を俯瞰した上で設定されたものであることを強調してここに記しておきたい。3授業の実施方法ここでは、上述の如く定められたカリキュラムに即して、実際の授業をどのように実施していったかを記す。3.1チーム・ティーチングによる授業実施態勢2016年度のスタートアップセミナーは、伊藤正晃、于小薇、大澤肇、河内信幸、高英求、宗、和田知久が担当した。その内、4名が本科目担当の未経験者であったこともあり、すべての担当者による理解と認識の共有を図るため、新学期開始直前にミーティングを行った。シラバスや2月に開催された初年次教育科目担当者会議での配付資料の一部を用いて、「高校から大学教育への円滑な移行・接続」を目的とする本科目の特性について確認することからはじめ、各回の授業目標と実施内容については、前掲【資料3】によって確認し、実施に当たっての問題点については出席者で議論した。また、本科目の授業を行っていく上で留意すべき、「担当者の姿勢」についても共有が行われたことは特筆すべき事であった。その姿勢とは、学生たちと担当教員による「場の形成と時間の共有」ができるよう心がけることであった。それは、決められた(授業)時間に決められた場所(教室)に学生と教員が集い、実際に顔をつきあわせて直接言葉を交わし、互いの存在を認め合う場所を、現実の空間として持つことである。連絡事項の伝達や情報の獲得だけなら、メールやSNS、e-learningのシステムを利用するだけでも可能である。しかし、教室での討論のふとした逸脱から生まれる新たな気づきや、夢や目標を持って学ぶ仲間におぼえる共感は、「場の形成と時間の共有」ができてこそ得られるものである。本科目にとどまることではないが、学校において学生と教員が対面して授業を受ける(行う)ことの大切さを、ともに分かちあいたいとの認識に立っており、本科目のような少人数の演習形式であるからこそ実行もできるのである。また近年、家庭的な事情などにより精神的に孤独や不安を感じながら学生生活を送っている者や、通信制や単位制など多様な教育システムの高校を経て入学し、日々の通学やクラス単位の受講に違和感をおぼえる者が、本学での学修を継続する上で支障をきたす場合もまま見られるが、そのような学生に対しても、入学後早い段階でフォローできるようにすることを目指している。具体的な授業方法としては、複数の教員がチームを組んで指導にあたるチーム・ティーチングの態勢を取ることとした(注1)。本科目においては、上述の「担当者の姿勢」を共有しつつ、統一的な授業実施予定表に従い、授業開始前と終了後に担当者ミーティングを密に行った。各週の授業実施の流れはおおよそ以下のようであった。―56―和田知久・于小薇・大澤肇

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る