中部大学教育研究16
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問看護ステーションでは朝礼時に深夜の利用者さんの状態を報告し情報を共有していた」など、~の状態、という表現で使われていた。<観察>については、「~の状態観察」という表現で使われていた。<理解>については、<家族><利用者>が多く出現した。たとえば、「家族を生活者として理解する」「家族の介護負担や充実感を理解する」「家族や利用者を生活者として理解する」などであった。在宅看護を行う上で、利用者と家族の生活や信念、価値観などを理解することの重要性について述べていた。各目標別に<理解>をカウントしてみると、目標1は67回、目標2は34回、目標3は20回、目標4は34回、目標5は50回であった。<知る>については、<生活><必要><利用者>が多く出現した。たとえば、「対象の生活背景を知り、対象を理解しようとする気持ちが大切であるという看護の基本を改めて認識した」「在宅ではより利用者の生活環境や家族関係、今までの経過などを知ることがとても大切だと感じた」などであった。このほかにも、上位10位以内を見てみると、<療養><家族><情報><人>などが挙がっている。<必要>については、<考える><学ぶ><行う>という実習を通じた学生の動作が多く出現した。これ以外には、<支援><家族><看護>といった用語が挙がった。たとえば、「生活の継続支援が必要であると学んだ」「家族や本人のニーズを知る必要があった」「家族も見ていく必要があると考えた」「家族の支えが必要である」などであった。<人>については、<生活><人>が上位に挙がった。たとえば、「その人にとって意味のある人生を送るために生活がある」「その人その人の生活」など、利用者の個別性を述べる際に使われていた。<大切>については、<学ぶ><感じる><考える><行う>という実習を通じた学生の動作が多く出現した。これ以外には、<支援><看護><関わり>といった用語が挙がった。たとえば、「利用者が安心して生活出来るような支援が大切である」「利用者の個別性に合わせた支援が大切だと分かった」「利用者・家族の思いを尊重した看護を提供していくことが大切である」などであった。<時間>については、<訪問>が最も上位であり、次いで<看護><生活><限る><家族>が挙がった。どの文章も看護師の限られた訪問時間に触れ、医学的根拠に基づいて病期や病態をアセスメントし、看護師が滞在しない多くの時間の安全を守ることが大事であることについて言及していた。たとえば、「利用者さん、家族が一緒に過ごしたいという思いに気付いた時にどれだけニーズに沿えるか、決められた時間、回数の訪問の中でどれだけ先を予測し、優先順位を医学的根拠に基づき決定することができるか、その時、その時間だけを保証するのではなく先を見据え次の訪問までの安心を届け、命を保証するということの意味、重要性を訪問そしてカンファレンスにて学び深めることができた」などであった。<自分>については、<生活><行う><利用者>が多く出現した。<生活>は、「(利用者は)自分で生活を送りたい」「(利用者は)自分の好きなように生活したい」という表現で使われていた。<行う>は、「もし自分が介護を行う側になったらどう考えるのか」といったように、実習での出来事を自分に置き換えて考える場合と、「療養者は自分で排痰を行うことができないので」といったように、利用者の行為を述べる際に使われていた。<利用者>は、<生活>の場合と同じように利用者の生活を述べる際に使われる場合と、「自分の身の回りはすべて自立している」「自分の疾患を十分理解し食事療法・運動療法・薬物療法を管理されている」といったように、利用者の状態を説明する際に使われていた。<情報>については、<共有><収集><提供>が多く出現した。<共有>の場合は、看護師が他職種と<情報>を<共有>する場合に使われていたが、<提供>の場合は、利用者や家族と他職種に<情報>を<提供>する場合に使われていた。<共有>は計68か所で使われており、利用者や家族のニーズに応え、持続可能なケアを行うためには、かかわる医療従事者間で情報を共有することが大事だと述べていた。<収集>は、「家族と利用者の生活背景や価値観を知るためには情報収集が大切である」といったように、利用者や家族のニーズを知るためには情報収集が必要であるということを述べていた。<重要>については、<学ぶ><考える><看護><感じる>という実習を通じた学生の動作が上位であった。<看護>については、「療養者の強みを生かした看護が重要」「在宅看護では、より家族に対する看護が重要になることが学ぶことができた」など、各学生が考える在宅看護について述べていた。<今回>については、<実習>が最も多く、次いで<利用者><考える><受け持つ><学ぶ>などが挙がった。どの語も「今回の実習」「今回の利用者」「今回は~について考えた」「今回は~について学ぶことができた」など、学生が、自分が体験したことに基づいて何かを述べたい場合に使っていた。6考察6.1「実習のまとめ」の全体像頻出語(上位50位)と出現数200以上の語から抽出―43―在宅看護論臨地実習における学生の学び

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