中部大学教育研究16
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ていた知識・技術」)の2項目の記述をテキストデータとし、テキストマイニングの手法を用いて内容分析を行った。テキストデータを解析し情報を抽出するために樋口らが開発したKHCoder2)を使用した。テキストマイニングでは、テキストの中から自動的に言葉を取り出し、さまざまな統計手法を用いた探索的な分析を行うことができる。形態素解析を行い、分析対象となる文章を単語の単位に区切り、単語頻出分析で出現回数を分析した。次に出現回数11回以上の単語を対象にし、それぞれ結びつきを深めるために共起ネットワーク分析を行った。5結果対象72名の記録を分析した結果、「役立った知識・技術」に関する記述の総抽出語数は13766語であり、文章数は400文であった。「不足していた知識・技術」は12353語であり、文章数は382文であった。5.1頻出語分析「役立った知識・技術」および、「不足していた知識・技術」の頻出語分析を行い、それぞれの頻出50位までを表1に示した。「役立った知識・技術」と「不足していた知識・技術」の記述のうち、固有の抽出語を網かけした。以下、抽出語を“”で示し、()には左側に「役立った知識・技術」の出現回数、右側には「不足していた知識・技術」の出現回数を示した。なお、どちらかのみに頻出している語の出現回数はその該当の回数のみしか記していない。「役だった知識・技術」、「不足していた知識・技術」に共通していた語は、“患者”(164/171)、“術後”(131/83)、“合併症”(87/55)、“状態”(30/39)、“清拭”(27/17)、“観察項目”(23/25)、“アセスメント”(17/26)などであった。「役だった知識・技術」のみに頻出していた語は“全身麻酔”(31)、“気管挿管”(24)、“リスク”(15)、“生体反応”(13)、“深部静脈血栓”(12)、“無気肺”(12)などであった。一方、「不足していた知識・技術」のみに頻出していた語は、“解剖”(28)、“生理”(17)、“正常”(16)、“早期”(15)、“薬剤”(15)、“脳”(14)、“データ”(13)、“疾患”(13)、“体位”(13)などであった。5.2共起ネットワーク分析頻出語同士の結びつきの関係性を知るために、出現回数が20回以上の語を抽出し、共起ネットワーク図を作成した。ネットワーク図は、出現数の多い単語ほど大きな円になり、共起関係が強いほど太い線になる2)。今回は、比較的強くお互いに結びついている部分を自動的に検出してグループ分けを行い、その結果を色分けによって示すことができる「サブグラフ検出」を行った。この検出において背景が白で囲み枠が黒い円は、他の語とグループを形成していない単独の語であることを意味している。同じサブグラフに含まれる語は実線で結ばれるのに対して、異なるサブグラフに含まれる語は破線で結ばれている。このサブグラフ検出と、学生の記述データを精読しカラー別でネーミングを行った。役立った知識・技術の共起ネットワーク(図1)では【全身麻酔と術後合併症に関する知識】、【基礎看―34―荒川尚子・松田麗子・加藤有美・滝沢美世志・江尻晴美・牧野典子表1頻出語(上位50)

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