中部大学教育研究16
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4.2英語英米文化学科英語英米文化学科の各尺度の5年間の春学期と秋学期の評定値平均を図3に示す。年度間、学期間の比較のために、尺度毎に年度を参加者間、学期を参加者内とする2要因混合分散分析で分析した。尚、これ以降、年度の単純主効果は有意差ないしは差の傾向がない限り統計値は記載しないものとした。4.2.1不安緊張感分析の結果、年度の主効果と(F(4,233)=3.73,p<.01)、学期の主効果が有意で(F(1,233)=6.24,p<.05)、交互作用は有意でなかった(F(4,233)=1.67,ns)。しかし、年度毎の学期の単純主効果の分析では、2011年度、2013年度、2015年度に傾向が認められただけであった(この順で、F(1,233)=3.58;3.51;3.80,allp<.10)。学期毎の年度の単純主効果は、秋学期のみ有意で(F(4,466)=4.61,p<.01)、下位検定では、2011年度と2012年度の間にのみ有意差が認められた(p<.01,HSD=0.60)。この結果は、2011,2013,2015年度のみ1年間の教育を通じて不安緊張感が低下する傾向は認められたが有意なほどではなく、2012,2014年度には低下しなかったこと、2011年度の秋学期が2012年度の秋学期より不安緊張が低かったことを示している。しかしながら、図3を見ると明らかなように、不安緊張感尺度の評定値平均は他の尺度の評定値平均よりも低く、かつ、どの年度の春学期も秋学期も5件法の評定中央値の3.0を大きく下回っていたため、以上の変化の有無には大きな問題点はないと言える。4.2.2統制不能感同様の分析の結果、年度の主効果は有意でなく(F(4,233)=1.33,ns)、学期の主効果は有意で(F(1,233)=22.02,p<.01)、交互作用は有意でなかった(F(4,233)=0.69,ns)。次に、年度毎の学期の単純主効果を求めたところ、学期の単純主効果は2011年度(F(1,233)=4.17,p<.05)と2012年度のみ有意で(F(1,233)=14.88,p<.01)、この2年間のみ春学期より秋学期の方が統制不能感が低かった。この結果は、2011年度と2012年度は半期の教育により統制不能感が低下したが、それ以降は春学期と秋学期で差がなかったことを示している。英語英米文化学科では春学期にはプレゼンテーションを、秋学期には論文作成を1年生に課している。授業内外での指導が功を奏し、2012年度以前には統制不能感が低下したと考えられる。一方、2013年度以降低下しなかったのは、この年から導入した英語のオンライン教材が影響していると推察される。4.2.3嫌悪回避感同様に分散分析した結果、年度の主効果は有意でなく(F(4,233)=0.47,ns)、学期の主効果も有意でなかったが(F(1,233)=1.06,ns)、交互作用に傾向が認められた(F(4,233)=2.21,p<.10)。そこで年度毎の学期の単純主効果を求めたところ、2011年には傾向があり(F(1,233)=3.86,p<.10)、2012年度には有意差が認められた(F(1,233)=6.79,p<.01)。この結果は、2011年度には春学期から秋学期にかけて嫌悪回避感が低下する傾向があり、2012年度にはそれが明確に低下したことを示している。2013年度以降は、前述のように英語のオンライン教材を導入したことが影響し、嫌悪回避感が秋学期において低下しなかったものと考えられる。英語英米文化学科の新入生は不安緊張感については大きな問題はないが、統制不能感と嫌悪回避感は2013年度以降有意な低下が見られない。これは英語力向上のために導入した教材が影響していると推察される。学科の性質上、上記の結果は止むを得ない部分はあるが、そのような中でも苦手意識を克服させるような方策を今後は考えていきたい。―18―水野りか・GregoryKing・柳朋宏・渡部展也・柳谷啓子・尾鼻崇・永田典子・嘉原優子・山本裕子図3英語英米文化学科の3尺度の春学期と秋学期の評定値平均の5年間の推移

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