中部大学教育研究16
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うことになっている。①教員とミーティングを行い、なぜそれぞれが関与し、双方が協働にどんな願いを持っているかを明らかにし、セメスターの焦点とミーティングの計画を立てる。②毎週、一つの授業を訪問する。③教員が指定した教育課題について詳細な観察ノートを付ける。④(もし教員が望むならば)学期途中のフィードバックのために、もしくはセメスターの他のところでクラスの学生に調査もしくはインタビューする。⑤互いに週のミーティングに参加し、観察ノートと他のフィードバックや気づきについて議論する。⑥SaLTのコーディネーターとともに週のミーティングに参加する。⑦セメスター中に5回、一人もしくはそれ以上の教員セミナーを訪問する、である。全セメスターの教育診断によって、学生コンサルタントはおおよそ週5時間働くことになり、セメスターで500ドルの報酬を得ることになっている(HEA,2014から引用、なお原典はCook-Satheretal,2014)。15)佐藤はそれ以外の理由として、日本経済の好調ゆえの「大学の専門知識」に期待しない社会風土や、日本の大学教員の研究重視志向が強いこと、実践よりも研究を重視した高等教育学研究者の問題などを指摘している(佐藤、2010年)。16)GPは2003年度から始まった「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP、2003~2007年度)」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP、2004~2007年度)」及び「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP、2008年度)」を指す。またAPは「大学教育再生加速プログラム、2014年度以降」を指す。これらの取組の多くが、学生参画を謳い、授業や学生支援の改善を掲げた。参考文献井上史子・土持ゲーリー法一・沖裕貴「大学授業の改善(1)-学生による授業コンサルティングの導入と訓練プログラムの開発」日本教育情報学会第28回年会論文集、2012年、170-173頁。沖裕貴「学生参画と教職協働が大学を変える」日本私立大学連盟『大学時報』325、2009年、132-133頁。沖裕貴「「学生参画型FD(学生FD活動)」の概念整理について-「学生FDスタッフ」を正しく理解するために-」『中部大学教育研究』No.13、2013年、9-19頁。沖裕貴「「学生スタッフ」の育成の課題-新たな学生参画のカテゴリーを目指して-」名古屋大学高等教育研究センター『名古屋高等教育研究』第15号、2015年、10-11頁、19頁。沖裕貴「3つのポリシーの策定と運用-一体的な策定と公表義務化を迎えて-」日本私立大学連盟・教育研究委員会『3つのポリシーの一体的な策定・公表に向けて-指針と事例-』、2016a年、10-11頁。沖裕貴「立命館大学におけるピア・サポートの取組」立命館大学教育開発推進機構『立命館高等教育研究』第16号、2016b年。木野茂編著『大学を変える、学生が変える-学生FDガイドブック』ナカニシヤ出版、2012年。グリーン・ヴィヴィアン著、安原義仁・成定薫訳『イギリスの大学その歴史と生態』法政大学出版会、1994年、ⅲ頁。佐藤浩章「諸外国との比較から見える日本の高等教育開発とJAED」日本私立大学協会『教育学術オンライン』第2419号、2010年。秦喜美恵・平井達也・堀江未来「学生ピア・リーダーの成長プロセスとその要因分析に関する質的研究-追跡調査の記述分析より-」『立命館高等教育研究』第16号、2016年、65-82頁。杉原真晃「大学における「学習共同体」の教育学的考察のために」『京都大学高等教育研究』第12号、2006年、164-165頁。大学評価・学位授与機構、杉本和弘監訳、翻訳資料4「欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン」『大学評価のメタ評価に関する調査研究報告書』、2012年、7-8頁。巽靖昭・東晋司・児玉俊介・佐藤崇・澤口隆「ミクロ・マクロ経済学演習科目の教育効果に関する実証研究」『京都大学高等教育研究』第18巻、2012年、11-23頁。中村正「戦後の立命館大学の歩みと大学創造への学生・教職員の参加」立命館大学『未来を拓く-ようこそ立命館へ-』2015年、64-67頁。平岡和久「全学協議会と学生・教職員の参加」立命館大学『未来を拓く-ようこそ立命館へ-』、2015年、68-69頁。福田今日子「ピア・サポーター育成法D-PLUSマネジメント術」立命館大学教育開発推進機構『2013年度第八回教学実践フォーラム資料』、2013年。福田今日子・土岐智賀子「ピア・サポーターの育成・マネージメント-ピア・サポート組織の実践報告」京都大学高等教育研究開発推進センター『大学教育研究フォーラム発表資料』、2013年。三浦真琴・松田昇子「ActiveLearningの理論と実践に関する一考察-LAを活用した授業実践報告(7)」関西大学教育開発支援センター『関西大学高等教育研究第7号』、2016年、1-13頁。文部科学省「大学における学生生活の充実方策について-学生の立場に立った大学づくりを目指して-」、―11―日本の高等教育における「学生参画」の概念の再整理の試み

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