中部大学教育研究16
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24CLASSENSSEDPESD-PLUSTAAPUSASoTLFDFDD-PLUSSCOTめたりすると、これらが学生の関与するFD活動であることは疑うべくもなく、学生参画とFD活動との接点を探し求める必要が生じた。それがこれまでいくつかのピア・サポート・プログラムや学生スタッフに関する論考を執筆してきた理由であり、今回の論考に最終的な総括を行ったもっとも大きな理由である。これには、近年、イギリスを中心に学生連携という新たな領域が検討されていること、学生をパートナーと見る視点が生まれ始めていることが起点である。一部の学生FDスタッフや学生業務スタッフの活動、そしてSCOTやピア・サポーターの活動は学生連携という新たな領域に相当する活動であり、全学協議会や五者懇談会という「教授学習の実践と政策の向上」に絡む活動も含めて、大きな学生参画という概念に包括されることを確認できた意義は大きい。それは特に学生参画型FDを特殊で日本独自の概念だと位置づけてきた国内の議論を、広く国際的な文脈で捉え直すことにつながるからである。もちろん、学生連携には基本的に連携の主要な対象となる学生自治会との包括協定の締結が必要である。また、連携する学生への十分な研修、支援の仕組みの構築や、学生スタッフの選抜の公開性と透明性の確保、そして何よりも学生が制度的に意思決定権を付与されたパートナーとして教学や大学運営に関与する仕組みが欠かせない。さらに当然のことながら、数年で卒業していく学生の専門性や責任に対する教職員側の根強い不信感を払拭するにはずいぶん長い年月が必要とされよう。しかし国内のいくつかの大学では、すでに学生連携への一歩を踏み出しているところが少なくなく、我々はこれを国際的な視座から評価し、その活動を推進する側に回らなければならないだろう。それがFDに携わる専門家としての筆者の決意である。注1)本来、studentengagementは「学生従事」と翻訳するのが適切であるが、アスティン(1984)の提唱したstudentinvolvement(学生関与)とともに、国内では「学生参画」と訳され、用いられることが多いため、ここではそれを使用した。なお、一部の学生参画型FDは学生参画の活動を―9―日本の高等教育における「学生参画」の概念の再整理の試み表14つの領域に相当する国内の学生参画に関わる活動

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