中部大学教育研究16
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にするインドネシアの現在を見たら、また違う発見もできることだろう。現在は医療現場での人材のグローバル化が進んでいる。10年後、20年後には当然のように外国人と協働する時代が到来するであろう。中部大学の学生にも、将来を見据えた上で多くのことを学んで欲しいという気持ちが強くなった。9おわりに今回の調査では、15名ほどのインドネシア人看護師たちから帰国後の様子を聞いた。本稿では、Aさん、Bさんを中心に彼らの就労状況の一部を報告した。経済活動の発展を狙って開始された経済連携協定のもと、インドネシア人看護師たちは日本にやってきた。そんな彼らは、日本で学んだことを活かして、日本人の健康を日本でも母国インドネシアでも支えて活躍している。昨今の人口動態から見ると、我が国の生産年齢人口は減少の一途をたどり、多くの産業で外国人労働力に頼らざるを得ない時代が来るだろう。今後、老年人口が増加する中で、保健医療福祉分野での人材不足はますます深刻化するはずである。このような現状の中で、すでに発効から8年が経過したEPA看護師・介護福祉士候補者制度は、外国人労働力を考える先駆けになるのではないだろうか。このような観点から今後も彼らを追い続け、日本で働く外国人看護師、介護福祉士、そして他の外国人労働者を含め、彼らと協働するための方法を模索していきたいと考えている。参考文献1)厚生労働省編,「2014~2015年海外情勢報告世界の厚生労働2016」,正陽文庫,20162)ジャカルタポスト2012年7月23日3)株式会社リベルタス・コンサルティング,「外務省委託調査経済連携協定発効後の貿易の動向に関する調査報告書」(P58~)2013.34)厚生労働省ホームページ「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/index.html(2016年9月20日検索)5)株式会社データバンク,「特別企画:第2回インドネシア進出企業の実態調査」,2014.6http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p140605.pdf(2016年9月20日検索)6)在インドネシア日本国大使館ホームページhttp://www.id.emb-japan.go.jp/visaj_09.html(2016年8月30日検索)注釈注1)生産年齢人口とは、国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となるような年齢のことで日本では15歳以上65歳未満をいう。日本では毎年約110万人が生産年齢人口に参入する。インドネシアの1/4である。注2)2011年より外交上の配慮として、一定の条件で特例的な滞在期間の延長(1年間)が認められている。よって看護師候補者で最長4年、介護福祉士候補者では5年の在留ができる。注3)日本語を母語としない人達のための日本語能力を測定し認定する試験である。N1~N5までの認定がある。認定の目安は「読み」「聞く」という言語行動で表している。(助手教育支援機構看護実習センター)―108―新美純子

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