中部大学教育研究16
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到達度確認テストは真面目に準備さえすれば高得点が期待できるため実力以上の得点を取る可能性は否定できないが、それでも到達度テストの全ての項目とフレッシュマンテストおよび実力テストの間に有意な正の相関がある点は注目に値する。また、相関の強さに関して、4つの問題のうち、「英日」の相関が最も弱く、秋学期の「文法」、続いて「方略」との相関が高い点が注目に値する。このことは、文法問題、読解方略の問題の方が実力を反映しやすいと解釈できるかも知れない。5単位が取得できない理由最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の取得に至らなかった受講生について分析しておきたい。毎回の積み重ねを重視する「英語スキルⅠ/Ⅱ」では、理由なく欠席が3回を超えた場合、つまり4回以上欠席した場合、自動的に不可と判断することになっている。つまり15回の授業のうち最低でも12回(80%)の出席が要求される。表12に示すように、成績と出席率にははっきりした関係があり、春学期と秋学期のいずれにおいても単位を取得できなかった学生の出席率は極めて低い。表12成績と平均出席率単位未取得者(E評価)について言えば、春学期は77名(41.6%)、秋学期は134名(51.1%)が規定の出席率を満たしておらず、自動的に不可になったと考えられる。この傾向は再履修者ではより顕著であり、表13に示すように、単位を落とした再履修生の出席率の平均は半分に満たない。表13成績と平均出席率(再履修生)単位取得に至らなかった受講生(E評価)で規定の出席率を満たしていない者は、春学期67名(67.7%)、秋学期74名(73.3%)という多さである。授業に魅力を感じず出席率が低くなった可能性は否定できないが、履修後1度も出席していない受講生もいる。その数は、通常の履修生では春学期、秋学期それぞれ5名と10名、再履修生では春学期、秋学期それぞれ14名と12名である。これらの受講生については授業内での対策は不可能であり、学科を通したより根本的な対策が必要であろう。6結語平成25年度からの教材およびテスト内容の変更により、これまで以上に多角的に受講生の成績を比較検討することが可能になった。また、教務支援課の協力により、平成27年度より成績、特に単位を取得できなかった受講生について、ある程度の分析を行うことが可能となった。今後も新しいシステムを最大限に生かし、よりよい教育体制の構築を目指していきたい。謝辞到達度確認テストおよび実力テストの実施・採点・報告をしてくださった「英語スキルⅠ/Ⅱ」担当の先生方、本報告の内容に関して貴重なコメントを下さった先生方に厚くお礼申し上げます。注1)「英語スキルⅠ/Ⅱ」は旧カリキュラムの「フレッシュマン英語A/B」に対応している。2)これについては和田他(2013)およびWadaetal.(2014)で報告した。3)「英日」問題のみ、11の欠損値があり、総数が1931となっている。これを反映して、図1においても総数が2,389ではなく、11少ない2,378となっている。4)前述のように、図1では総数が2,378となっている。5)学科の略号は以下の通り。BA(経営会計学科)、BG(経営情報学科)、BH(経営学科)、EA(建築学科)、EC(都市建設工学科)、ED(電子情報工学科)、EE(電気システム工学科)、EK(応用化学科)、EM(機械工学科)、EP(情報工学科)、FR(応用生物化学科)、FS(環境生物科学科)、FT(食品栄養科学科)、HH(歴史地理学科)、HI(コミュニケーション学科)、HJ(日本語日本文化学科)、HW(心理学科)、LB(生命医科学科)、LC(臨床工学科)、LE(スポーツ保健医療学科)、LK(保健看護学科)、LP(理学療法学科)、LS(作業療法学科)、NC(中国語中国関係学科)、PJ(児童教育学科)、PY(幼児教育学科)。なお、全学向けの授業を受講していない英語英米文化学―96―大門正幸・今村洋美・加藤由崇・西村智・野田恵剛・和田珠実

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