中部大学教育研究16
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1はじめに平成23年度の全学共通教育のカリキュラム改訂以来、全学英語教育科では全学共通教育科目のスキル教育科目として「英語スキルⅠ/Ⅱ」を実施し1)、当科目の基本方針や実施方法、授業内に実施した到達度確認テストの結果について、大門他(2010,2011,2012,2014、2015)、和田他(2013)で報告してきた。本稿では、開講後5年目を迎える「英語スキルⅠ/Ⅱ」の結果について報告する。なお、今回の報告では、前回の報告(大門他,2015)同様、授業内で実施しているテストの結果だけでなく、単位の取得に至らなかった学生に関する分析も行う。2フレッシュマンテスト・到達度確認テスト・実力テスト入学時のフレッシュマンテストの成績により、受講生は上級、中級、初級の三つのレベルに分けられる。教科書および教材は全学英語教育科の教育方針に沿って作成した独自のものである2)。春学期と秋学期の最後に、授業内容の定着を確認するための到達度確認テストを実施しているが、その内容は()英語を日本語にする語彙問題、()日本語を英語にする語彙問題、()文法に関する問題、()読解方略に関する問題である。ただし、上級の受講生については、より高度な語彙問題を追加し、実力に応じた学習が行えるように配慮している。また、秋学期には授業内容とは独立した実力テストを実施し、フレッシュマンテストの成績と比較することで、英語力の変化の確認を行っている。以下、3節では到達度確認テストの結果について、4節ではフレッシュマンテストと実力テストの結果について報告する。また、5節では単位の取得に至らなかった受講生について、出席率およびフレッシュマンテストの成績の点から分析を行う。6節は結語である。なお、再履修者は、フレッシュマンテストの受講年度が異なること、また、春学期または秋学期のみの受講生がいることから、5節でのみ考察の対象とした。3到達度確認テストの結果3.1春学期春学期の到達度確認テストの受験者は、初級195名、中級1942名、上級252名の合計2389名であった。レベル毎の結果を表1から表3に示す。なお、分析にはSPSSStatistics20(MacOSX版)を用いた。表1春学期の到達度確認テストの結果(初級)表2春学期の到達度確認テストの結果(中級)表3春学期の到達度確認テストの結果(上級)表中の「英日」および「日英」はそれぞれ、「英語を日本語にする問題」と「日本語を英語にする問題」を指す。「文法」は「文法に関する問題」、「方略」は―89―中部大学教育研究№16(2016)89-97平成27年度の全学英語教育に関する報告大門正幸・今村洋美・加藤由崇西村智・野田恵剛・和田珠実

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