中部大学教育研究15
82/98

また、フレッシュマンテストと実力テストの平均点の変化についてWilcoxonの符号付き順位検定を行ったところ、全体としては有意ではなかったが、レベル毎に分析した場合、上級と初級においては差は有意であった(有意水準は.05)。また効果量については上級では、小(-.22)初級では中(.43)であった9)。以上のことから、英語力に関して上級、中級においてはほとんど違いが見られなかったが、初級においてはある程度の伸びが見られたと言えるであろう。全体としては上記の通りであるが、個々のケースを見ていくと、得点を伸ばした受講生もいれば、逆に得点を減らした者もいる。具体的な数字をあげれば、伸びた受講生が1065名、変化なしが187名、点を落とした受講生が950名という結果であったが、二つのテストの得点の差の最大値は56、最小値は-46であった。つまり、56点の驚異的な伸びを見せた受講生がある一方で、46点も点を落とした受講生がいるということである。両テストの差のヒストグラムを図23に示す。図23両テスト結果の差点を落とした受講生より伸ばした受講生の方が多いのは喜ぶべき点であるが、それでも点を落とした学生及び変化のなかった学生が相当数いるのは残念である。さらに、フレッシュマンテストおよび実力テストと、到達度確認テストとの相関を調べたところ、表11のようになった10)。なお、有意水準は全て.000未満である。表11フレッシュマンテスト/実力テストと到達度確認テストとの相関到達度確認テストは真面目に準備さえすれば高得点が期待できるため実力以上の得点を取る可能性は否定できないが、それでも到達度テストの全ての項目とフレッシュマンテストおよび実力テストの間に有意な正の相関がある点は注目に値する。また、相関の強さに関して、四つの問題のうち、「英日」の相関が最も弱い点が注目に値する。このことは、日本語を英語にする問題や文法問題、読解方略の問題が実力を反映しやすいと解釈できるかも知れない。5単位が取得できない理由最後に、履修登録をしたにも関わらず単位の取得に至らなかった受講生について分析しておきたい。毎回の積み重ねを重視する「英語スキルⅠ/Ⅱ」では、理由なく欠席が3回を超えた場合、つまり4回以上欠席した場合、自動的に不可と判断することになっている。つまり15回の授業のうち最低でも12回(80%)の出席が要求される。表12に示すように、成績と出席率にははっきりした関係があり、春学期と秋学期のいずれにおいても単位を取得できなかった学生の出席率は極めて低い。表12成績と平均出席率中には、履修登録をしたものの一度も出席していない受講生が春学期に7名、秋学期に20名おり、これらの受講生については、授業内容以前の根本的な対策が必要であるように思われる。次に、出席要件を満たしているのに単位を取得できなかった受講生について考えてみよう。該当者は、春学期133名(全体の5.5%)、秋学期111名(全体の4.7―72―大門正幸・今村洋美・西村智・野田恵剛・山田伸明・和田珠実

元のページ  ../index.html#82

このブックを見る