中部大学教育研究15
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図5インテイクをめざしたICT活用図5は、インテイクをめざしてICTがどのように活用され得るかを表すものである。インプットしてアウトプットを試みる、アウトプットしようとしてみた結果、不足するものをさらにインプットしようとする学習ループがまず1つある。そのループだけでは「アウトプットできない」否定感のみが生じることがある。特に英語弱者にとっては、「アウトプットしてみよう」と思えるまでプラクティスすること、すなわちプラクティスしながらインテイクのチャンスを増やしていくことが必要であると考える。限られた授業時間内で、図5にある6つのループを全て強化することは時間的に困難である。そこでこのプログラムが着眼したのは、プラクティスとインテイクのループにICTを積極的に活用することであった。このプログラムは対面授業でのインタラクティブ性のみならず、授業時間内の個別またはペア学習において、静かに学習ターゲットをインテイクしていくインナーアクティブ性も重視している。授業時間においてプラクティスとインテイクの土台を築いた上で、A/Bクラスでは自主的にプラクティス~インテイクを重ねさせ、C/Dクラスでは授業時間内にそれも行っていくという手法である。このような取り組みが実践された1年間の成果は、平成26年度末に行われたCASECスコアの伸びに表れている。図6は、2014年度入学者のCASECスコアの変化をクラス別に表している。入学時(赤)と1年後(青)のCASECスコアは、全体として向上が見られる。具体的には、様々な学習上の難題を抱えつつもDクラスでは1名を除き自己のスコア向上が認められ、特にCクラスに最も著しいスコア改善が見られた。Cクラスの半数は、Bクラスとの境であった300点を超えている。CASEC得点の伸び(平均)は、全体で36点、Aクラス20点、Bクラス7点、Cクラス79点となっている。Dクラスは5名しかいないので平均点に統計的な意味はない。「英語ぎらい」「英語が苦手」という学生が100%であったCクラスが平均79点といった著しい伸びを示し、Bクラスとほぼ同等にまで能力向上を達成している。学習の楽しさを個別学習で認識したことがない入学者にとって、180分間の授業が「耐え難い時間」から「成功体験できる場」となっていたことがうかがえる。90分授業のA、Bクラスに比べ、Cクラスの学生はスコア上の変化だけでなく、自己調整能力―63―ロボット理工学科英語強化カリキュラム図62014年度入学者各クラスのスコア変動分布Class@2014.9TotalD(5)C(25)B(26)A(24)100200300400500500400300200100CASECScore

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