中部大学教育研究15
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学科開設までの準備期間には、英語に対する自己否定感が強い学習者像を想定し、1年生から大学院までの期間にどのような教育目標を立て、どのような教授法を用いれば、限られた時間内に習得機会を最大限にできるかの検討を重ねた。学科人材育成描像と入学時点での平均的な英語力との差は極めて著しく、それを打破することが決して容易ではないことも想定しながらカリキュラムを構成した。特に、小学校から高校までの英語教育を通して蓄積したネガティブな印象や英語に対する深い苦手意識、不安感をどのように克服させるか、英語嫌いをさらに悪化させない方法はあり得るのかについて検討した。表1は初年次から大学院までの指導体制を示しており、語学センターとER学科がどのように英語強化指導体制を整えようとしているかを示すものである。授業担当者として語学センター教員3名が関わっているのは、1年次の「英語コミュニケーション入門」(履修単位名:英語スキル)と2年次の「英語コミュニケーション」である。1~2年次の英語授業においては、学科教員が語学教員と常に連携し、授業観察や学生の学習状況などに関する情報共有を綿密に行っている。3年次プログラム「科学技術英語」では、学科教員が授業を担当、語学センター教員は裏方にまわり、教材選定や教授法、授業計画の助言といった連携を続けていく計画となっている。2.2プレースメントテストとクラス構成週1回という限られた授業時間の中で、ことばとしての英語力の形成をめざそうとする際に不可欠なのは、まず目標に即したクラス分けと、クラスサイズの制限、適切なレベルの教材選定と教授法の選択である。クラス分けにはCASEC(英語コミュニケーション能力判定テスト)を用い、各クラスの人数は20~30名程度とした。CASECは、日本英語検定協会が基礎開発を行い、その後旺文社グループの(株)教育測定研究所が開発・運営を行っている英語コミュニケーション能力判定テストで、語学センターが2011年度から希望者を対象に年間随時試験実施してきているものである。CASECはWebで受験をするテストで、所要時間は1時間程度、そのうち受験時間は40分程度である。受験者の回答に合わせてテスト問題が選ばれていくコンピュータ適応型テストシステムで、受験者にとっては難易度が高すぎる問題と格闘する負担がない。CASECスコアは試験終了後即時に英検の級目安、TOEIC、TOEFLITPの換算スコア、Can-Doリストや学習上の助言とともに表示されるため、受験者本人もその時点での実力を把握でき、受験後の学習計画に役立てやすい。英語への抵抗感が深刻な学生も大きな負担を感じることなく、今までの定期テストや入試のような形式とは異なるテストを求めていたこと、リスニング/スピーキングを重視するカリキュラムに即したプレースメントが可能なことという条件に合ったものとして、CASECを実力判定テストに選定した。CASECは年間いつでも語学センターが受験を実施しているため、入学以降いつでも英語力を測定したい際に受験が可能である。学生自身や指導者が受験履歴をいつでも確認できるという点もCASECが導入された理由の1つである。―58―小栗成子・高丸尚教・関山健治・加藤鉄生(LC)1234TOEFLERPASEOERLCLC21LCI,IIADADCDe-LearningATR CALL BRIXCASECSI Room表1ER学科英語強化指導体制

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