中部大学教育研究15
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1はじめに2014年度、本学にロボット理工学科(以下、ER学科)が新設された。入学者が将来専門分野に携わっていくには、世界の様々な英語使用者と意見・情報交換、相互理解できる英語コミュニケーション能力が不可欠となってきている。こうした時代に活躍できる人材養成をめざして、ER学科は語学センターと共にあらたに独自の英語強化カリキュラムの構築を開始した。本稿では、ER学科初年次英語教育の特徴と2014年度入学者の成果について報告する。このカリキュラムは、工学者として必要となる基本的な英語コミュニケーション能力の習得を学士力の到達目標としており、具体的には3年次には専門分野のことがらについて簡潔な英語であれば聞くことができたり、述べることができたりする英語基礎力の定着を目標としている。図1は1年次から大学院までの英語カリキュラムの全体像である。1年次には基礎力の養成開始とともに、特別な英語強化時間を設ける「リフレッシュコース」(科目名:リフレッシュ英語A、B)を開講、自律した学習者の育成をめざした自主学習促進も組み込み、英語に対する否定感を緩和することを最優先しており、遅くとも3年次を終えるまでには、英語を聞いてみよう、発話してみよう、読んでみようとする意欲と素地の形成をめざしている。2授業体制と教授法2.1強化カリキュラムの概要このカリキュラムの1年次の達成目標は、次の5点である。1.心理的バリアの軽減:英語への抵抗感や嫌悪感の緩和と英語学習への再挑戦2.未開発能力の育成:リスニングの基礎力育成とコミュニケーション能力素地の育成を最優先3.学習基盤の形成:Pre-A1(英語能力到達指標CEFR-J)以下のレベルからの脱出4.自己調整能力の育成:いかなる領域での学習にも通じる主体的な学習能力の形成5.異文化受容力・適応力の育成:異文化間コミュニケーションに必要とされる協調的な人間力の形成―57―中部大学教育研究№15(2015)57-64ロボット理工学科英語強化カリキュラム-1年目の取り組みとその成果-小栗成子・高丸尚教・関山健治・加藤鉄生図1ER学科英語強化カリキュラム構想

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