中部大学教育研究15
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取り組みとして、正課授業と正課外活動「ひとり暮らし入門」を取り上げる。図1学生相談室による新入生対象の3層支援4正課授業:初年次教育科目授業「スタートアップセミナー」4.1授業概要学科必修科目としての初年次科目スタートアップセミナーが開講されて本年で6年になる。初年次教育科に学生相談室のカウンセラーが加わり、参考テキスト(中部大学全学共通教育部初年次教育科編,2015)の執筆や、依頼を受けた学科への出張講義(1時間分)を行ってきた。大学は社会に出る前の最後の練習の場であり体験の場である。失敗を恐れず苦手なことにも挑戦して自信を持って社会に出て行けることを期待し、授業では、大学時代は人間の成長における重要な時期である青年期にあることを伝え、大学生活の各時期における悩みや心理的特徴について知らせた上で、豊かな対人関係を築く方法を取り上げている(表1)。尚、授業スライドは学生相談室ホームページに掲載している(学内認証必要)。授業の前に、担当学科の初年次科目担当教員から当該学科の学生像、新入生像、学年カラーなどを伺っている。担当教員から語られる新入生像は、恵那研修での集団生活での様子、スポーツ大会に対する学年の姿勢、普段の授業態度、学力、男女比、長期欠席学生の有無など多岐にわたる。また、授業直後に恵那研修が予定されている学科もあり、それらの情報を授業に反映できるよう準備している。4.2コミュニケーション・エクササイズスタートアップセミナーでは学科を小グループに分けきめ細やかな指導が行われているが、カウンセラーが担当する授業についても学生数の多い学科では2名のカウンセラーで分担し受講学生数が100名を超えないように調整している。授業ではエクササイズを体験実習に取り入れ、座学だけでは学べない学科内交流を目指している。最初のエクササイズは「情報の受け取り方の多様性」「確認しながら聞くことの必要性」の体験実習である。それぞれの結果を学生達で共有することで、コミュニケーションの重要性とともに自他の違いを認識してもらうことが狙いである。―44―佐藤枝里表1テキストChapter4「社会生活の基礎」41学生時代ってどんな時?1子どもから大人へ2青年期の課題(1)「アイデンティティの確立」3青年期の課題(2)「信頼しあえる人間関係への準備」4ライフスキル5社会に出る前の練習・体験の場42入学から卒業までの心の歩み1入学期2中間期3卒業期4大学で学ぶことは役に立つ?43大学生の人間関係1あなたはコミュニケーションに自信がありますか?2人は皆違う3気遣い過剰は要チェック4苦手意識を捨てよう5他人との距離6人間関係の距離はいろいろ7大学に“いじめ”はあるの?8成長に応じて仲間も変化する9他者への配慮44対人関係が苦手な人のために1分からないことは聞いてみる2伝えたいことは言ってみる3表面的関係から内面的関係へ4親しい関係を築くために5勇気を出して「NO」と言おう6名前を憶えて挨拶をしよう45ストレス対処法1あの手この手2忘れる3知的に考える4自分を語り、相談する

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