中部大学教育研究15
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は、大学生活においてのみならず、社会人としても必要なスキルである。内容面を伸ばすためにどのような指導が可能であるか引き続き検討し、より効果的な取り組みをしていきたい。引用文献1)穗屋下茂・小野博・米満潔(2011)「全国大学対象のJADEアンケート調査と結果について」『第1回JADEテーマ研究会予稿集』2)山本裕子(2015)「『伸びない』小論文の問題点はどのようなものか-縦断的分析を通して-」『リメディアル教育研究』第10巻1号,pp.80-91.3)山本裕子・中林律子・本間妙(2014)「論述文の添削評価に対する『気づき』の分析-効果的な添削方法の確立に向けて-」『日本リメディアル教育学会第10回全国大会予稿集』pp.120-121.注1)IRT日本語力診断テストについての詳細はhttp://www.manajin.info/irt/background.htmlを参照されたい。2)穗屋下・小野・米満(2011)参照。3)添削評価は、評価基準をこちらで作成し、評価方法やコメント方法等、十分な打ち合わせをした上で委託している。4)分散分析の結果は次の通りである。2013年度F(2,216)=8.22,p<.012014年度F(2,208)=1.15,p=n.s2015年度F(2,212)=6.56,p<.012013年度と2014年度について、さらに多重比較をしたところ、2013年度は1-4年生間でt(131)=1.66、p=0.00となり、ポンフェローニの補正をおこなった上で、1%水準で有意な差があると認められた。2015年度は1-3年生間t(155)=3.00,p=0.003、1-4年生間ではt(117)=3.30,p=0.001となり同様に有意な差が認められた。5)評価項目は表7から、「イ⑨大学生にふさわしい表現を用いているか」、「ウ⑧最後に内容が的確にまとめられているか」を除いたものである。また配点は「イ形式項目①~⑨」で10点、「ウ内容項目①~⑧」で10点の計25点満点であった。6)中学生レベルと判定された8人のうち3人の論述文が10点以下と評価されたことを表す。そして、残りの5人のうち、もっとも評価点の高い人が16点であった。8人中7人が15点未満ということになる。7)同様に3年次に中学生レベルと判定された学生は3人であり、3人とも論述文の評価点が15点以下であったことを表す。この3人のうち2人は1年次も中学生レベルと判定されていた。1人は1年次には高1レベルであったので、得点が下がったことになる。8)1年生は全体では82人、3年生は67人であったが、1年生と3年生は学年の中でグループによって添削方法を変えて添削評価を実施しているため、ここでは4年生と同じ方法で添削評価をおこなったもののみを対象としている。なお、添削方法の違いについては、山本・中林・本間(2014)を参照されたい。9)本稿では「気づき」の内容と添削コメントの関係について詳しい分析をおこなわず、稿を改めて論じることとしたい。なお2013年度の「気づき」の分析は山本・中林・本間(2014)でおこなっているので参照されたい。10)多重比較をしたところ1-4年生間ではt(37)=2.61,p=0.013となりポンフェローニの補正をおこなった上で、5%水準で有意な差が認められた。11)実際の論述文評価の際には⑦と⑧の順序は採点の便を考慮して逆にしている。(准教授人文学部日本語日本文化学科)―41―学生の日本語力の「伸び」に見られる傾向
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