中部大学教育研究15
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するであろう問題点をより具体的に明確にするには、「書かせる」ことが適していると考えたからである。論述文課題は、例年IRT診断テストと同様、4月に実施している。ただし、3、4年生はゼミでの専門の学習があるので、4月に1回書くだけであるが、1年生は、春学期はスタートアップセミナーで、秋学期は基礎演習を利用して、年に数回書く機会を設け、各クラス(ゼミ)で文章指導をおこなっている。また、当初、論述文を書いたあとの文章指導は全てゼミ単位で各教員がおこなっていたが、2012年からは、添削評価を外部業者に委託して実施している3)。自分の文章を、形式的な面、内容的な面の両面にわたって細かくチェックしてもらうことは学生にとって非常に有益である。また、学生は、第三者にわかるように書くという意識が薄いので、教員以外の第三者に添削されるという点でも意義が大きい。さらに、教員によって「よい文章観」には開きが大きいが、外部に委託することで、共通の基準で評価することができる。以上の理由で、論述文の添削評価を外部に委託して実施することとした。費用の問題もあり、毎年上級生の論述文までというわけではないが、少なくとも1年生に関しては1年のうちに1回は外部業者による添削評価を実施するようにしている。3日本語日本文化学科のテスト結果日本語力診断テストの結果について述べる、まず現時点で最新のものとして公表されている2014年度の結果を図1に示す。図1全受験大学と中部大学のテスト結果(2014年度)図1は2014年度にテストを受けた全受験大学と中部大学のテスト結果である。図1からは、日本語日本文化学科は全受験大学に比べて高3レベルの学生の割合が高く、テスト結果から見ると比較的日本語力に問題のある学生は少ないと言える。図2には2013年~2015年の3年間の1年生のテスト結果を示した。図2からは年々わずかずつではあるが、入学生の高3レベルの割合が減り、逆に高1レベルが増えていることがわかる。「受験結果総覧総評」によると、2014年度は2013年度よりも高3レベルの割合が減少している、つまり学力が低い層の人数が増えたことが指摘されている。日本語日本文化学科の結果もそれに一致したものであるが、今後もこの傾向が続くかどうか、経過を見ていく必要がある。結果に応じて、より手厚く指導をしていく必要性があるだろう。次に、2013年度入学生の1年次と3年次のテスト結果を図3に示した。図3から、3年次の方が、平均点は高くなっており、憂慮されるレベルである中学生レベルの割合はかなり減少していることがわかる。大学生活の中で、日本語力がついているようである。図32013年度入学生の経年的推移また、2013年から2015年の3年間の学年別平均点を表1に示した。表1から、どの年も上の学年の方が、平均点が高くなっていることがわかる。一元配置の分散分析をおこなったところ、2013年度、2015年度については学年間の平均点に有意な差があり4)、伸びていることが確認できた。どの年度も1年生と4年生を比―36―山本裕子4.6%6.6%18.3%20.0%13.3%37.3%1.4%1.4%7.6%10.0%9.0%70.6%0%10%20%30%40%50%60%70%80%図2新入生テスト結果(2013年度~2015年度)2.2%6.7%11.1%10.0%70.0%11..33%%22..55%%33..88%%1166..55%%1122..77%%6633..33%%0.0%20.0%40.0%60.0%80.0%20132014220011552.2%6.7%11.1%10.0%70.0%2.5%1.3%12.5%8.8%75.0%0.0%20.0%40.0%60.0%80.0%1

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