中部大学教育研究15
40/98

写真2サーモグラフィ撮影時の赤ちゃん:なかなかじっとしてくれない写真3唾液採取の様子:乳児は唾液量が多く、安定したデータを取るのに苦労した写真4調査票を確認する学生スタッフたち:卒業研究のゼミ生が大活躍また、参加者が声をかけやすいようにとオリジナルのスタッフTシャツも作成した。ピンクが目を惹くようで参加者からも好評であり、学生スタッフの意識も高まるようで、現在も着用している。2.2メルボルンの研究視察ベビービクス講習会では、実践での反応と母親に対する質問紙調査の結果から、母親の心理的効果を実感した。そのようなとき、産後うつの予防的介入として母親に対するエクササイズと育児教育を組み合わせたメルボルンの介入研究2)を知り、幸運にも現地で、その'Mother&BabyProgram'を視察することができた。このプログラムの中心であるNorman氏は理学療法士であるが、助産師、小児科医、栄養士、言語療法士といった専門家、そして学生をも含む多くの他職種がコラボレーションしていた。ちなみに、オーストラリアの理学療法士はそのキャリアや能力によって、4段階のグレードがある。Grade1は大学院生や新人スタッフ、Grade2およびGrade3はさらに経験年数を積んだスタッフ、Grade4はスーパーバイザーで、病院では主任クラス以上でマネージャーやより専門領域のスペシャリストとして活躍している。大学の基礎教育では、理学療法に必須である解剖学、生理学、運動学といった学問を習得し、その後、スポーツや小児、女性といった各分野のうちのいずれかを選択して学習する。Norman氏はGrade4を有しており、二児の母親でもある。ウイメンズ・ヘルスケアのスペシャリストとして病院勤務していた際に、自身の経験も活かして、産後うつの予防のためにこのプログラムを立ち上げた。当時、本学のベビービクス講習会も「子どもと外出できて気分転換になった」、「子どもとのふれあい方が分かった」など好評を得ており、母親自身がもっと運動したいという意見も多かった3)。そこで、メルボルンの視察を経て、エクササイズと育児教育を結びつけた介入プログラムは日本でも効果が期待できるし、医療系の学科が複数ある本学ならそれができると考えた。写真5BoxHillHospital,Mother&BabyProgramでのエアロビクス:理学療法室にて2.3子育てセミナーに発展こうした経緯を小児看護学領域の畑中めぐみ助教、スポーツ保健医療学科の山田恵子助教(当時)に話したところ、賛同いただいて講師に加わってもらった。こうして、子育てセミナー「ベビービクスと子育てミニレッスン」(4回シリーズ)へと発展した。ベビービクスは毎回約40分で、乳児の月齢に合わせ―30―横手直美・山下恵・岡倉実咲

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る