中部大学教育研究15
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1はじめに現在、わが国では子育て支援に関する様々な取組の活用や連携が必要とされており、母親の育児ストレスを軽減するための多様なアプローチが試みられている。筆者らは、乳児をもつ母親の育児ストレスを軽減するために、子どもの健やかな成長発達とともに母親の乳児とのコミュニケーション力の向上など、母子相互作用の促進を図る子育て支援が効果的ではないかと考えている。筆者らはその具体的方策として、乳児と母親のスキンシップを基本として、ベビーマッサージに乳児の自然な運動発達を促すためのエクササイズを加えたベビービクス1)に着目した。子育てセミナーを本学のエクステンションセンターと共催するようになってから、今年で3年が経過した。2015年度は7月に国際学会での発表、9月の学生による活動報告会開催と、子育てセミナーにとって大きな節目となる年であった。そこで、関係各位に感謝の意を込めて、これまでの開催状況と今後の展望について報告する。なお、本セミナーに関する研究は、中部大学倫理審査会の承認を受けた(承認番号240037)。写真の掲載と結果の公表については、参加者から了解を得ている。2「子育てセミナー」開催までの経緯2.1ベビービクス講習会としてスタートベビービクスとは、赤ちゃんとお母さんのスキンシップを基本に、ベビーマッサージに赤ちゃんの自然な運動発達を促すためのエクササイズを加えたプログラムであり、親子のきずなを深め、愛情と信頼関係を育てるものである1)。筆頭著者(横手)は日本マタニティフィットネス協会認定ベビービクスインストラクターであり、前任校で地域住民の母子にベビービクス講習会を開催しており好評であった。そのため、本学に異動した2011年から、当時の母性看護学領域・小島照子教授のご理解とご協力を得て、「ママもベビーもHappyになれるベビービクス講習会」(2回シリーズ)を開催した。同時に本学の競争的資金である特別研究Aによる助成も得て、母性看護学領域の研究課題としても取り組んだ。乳児を大学内に受け入れるということで、会場の安全面にはとても留意して準備した。ベビーカーでも会場に入りやすいようにと51号館1階の実習室を借りたり(現在は同館4階母性・小児看護学実習室で開催)、できるだけ近い駐車場を使用できるように警備員に依頼したり、施設課には冷暖房の温度設定を変更してもらったりした。また、学外の関係者が大学施設を使用するということで、当時の生命健康科学部・宮原事務長には起案まで作成いただき、万一に備えて傷害保険にも加入した。肝心の参加者募集は春日井市の子ども政策課にご協力いただき、乳児の4か月健診時にチラシを配布してもらい、満員御礼となった。慣れないことばかりで手続きが要領よく進まないこともあったが、多くの教職員や関係者にご協力いただき、大変有難かった。さらに、研究としてベビービクスの身体的効果を検討するために、サーモグラフィで母子の体表面温度を測定したり、ストレスレベルを測定するために母子の唾液採取を行ったりしたのだが、これには本当に苦労した。乳児の安全確保には細心の注意を払い、どうしたらスムーズにデータ収集できるか、試行錯誤の2年間で、ゼミ生にも協力してもらった。写真1サーモグラフによる測定:赤ちゃんをなだめているお母さんとスタッフ―29―中部大学教育研究№15(2015)29-33中部大学における子育てセミナー「ベビービクスと子育てミニレッスン」の開催報告と今後の展望横手直美・山下恵・岡倉実咲

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