中部大学教育研究15
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2.502.602.702.802.903.003.103.203.30これらのことから、過去受容と目標志向性に対しては、いずれの教授法による「自己開拓」も効果を示さないことが明らかになった。しかし、従来の教授法での「自己開拓」を受講することで、将来に対する希望が高くなる傾向が示された。また、改定後の教授法での「自己開拓」を受講することで、受講しない学生よりも現在の充実感が高まることが示された。3.2.5セルフ・コントロールの変化セルフ・コントロール行動度(RRS)の3つの下位尺度について、2要因混合計画の分散分析をおこなった。まず、改良型セルフ・コントロールについては、交互作用は有意ではなく(F(2,195)=0.70,n.s.)、教授法の主効果も有意ではなかった(F(1,195)=0.32,n.s.)が、調査時期の主効果が有意であった(F(1,195)=11.79,p<.01)。どの教授法であっても、全体的に改良型セルフ・コントロールの得点は授業前に比べて授業後で高くなっていた。外的要因による行動のコントロールについての分散分析の結果、交互作用と主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(2,195)=1.92,教授法の主効果F(1,195)=1.15,調査時期の主効果F(1,195)=1.22,いずれもn.s.)。したがって、「自己開拓」の受講によって外的要因による行動のコントロールの高さに効果はないといえる。調整型セルフ・コントロールについては、交互作用と教授法の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(2,195)=0.08,教授法の主効果F(1,195)=0.40,いずれもn.s.)。調査時期の主効果は有意であり(F(1,195)=4.34,p<.05)、教授法に関わらず授業後のほうが授業前よりも調整型セルフ・コントロールが高くなった。したがって教授法で分けても、「自己開拓」受講によってセルフ・コントロールに効果は見られないことが明らかになった。3.2.6キャリア・アダプタビリティの変化キャリア・アダプタビリティの4つの下位尺度それぞれについて、2要因混合計画の分散分析をおこなった。関心ついては、交互作用と教授法の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(2,195)=1.13,群の主効果F(1,195)=1.57,いずれもn.s.)。調査時期の主効果は有意であり(F(1,195)=4.43,p<.05)、授業後のほうが授業前よりも関心は全体的に高まることが示された。―26―佐藤友美・杉本英晴表4セルフ・コントロールおよびキャリア・アダプタビリティの平均値(下段は標準偏差)および分散分析結果図8授業前後の各教授法におけるコントロールの平均値2.172.392.322.412.292.4311.79**0.320.70(0.47)(0.46)(0.43)(0.51)(0.57)(0.52)2.522.682.502.442.402.451.221.151.92(0.52)(0.59)(0.42)(0.53)(0.59)(0.61)2.372.432.422.522.362.474.34*0.400.08(0.28)(0.50)(0.39)(0.45)(0.58)(0.55)2.552.832.812.962.672.694.43*1.571.23(0.87)(1.07)(0.78)(0.80)(0.94)(0.86)2.613.212.963.072.752.9522.11***1.093.79*(0.60)(0.84)(0.69)(0.83)(0.91)(0.86)2.542.862.803.072.772.8812.98***1.121.42(0.82)(0.97)(0.64)(0.74)(0.83)(0.84)2.402.832.762.982.652.7520.31***1.662.74†(0.70)(0.94)(0.68)(0.76)(0.83)(0.84)コントロールの平均値

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