中部大学教育研究15
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2.602.652.702.752.802.852.902.953.003.05一致している。外的要因による行動のコントロールについての分散分析の結果、交互作用と主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=0.79,群の主効果F(1,196)=1.16,調査時期の主効果F(1,196)=0.24,いずれもn.s.)。したがって、「自己開拓」の受講によって外的要因による行動のコントロールの高さに効果はないといえる。外的要因による行動のコントロールについては、小塩他(2011)では授業前後で統制群の得点上昇が認められ、小塩他(2012)および佐藤他(2013)では主効果、交互作用ともに認められなかった。佐藤他(2014)では受講群のほうが統制群に比べて、全体的に外的要因による行動のコントロールが高い傾向がみられた。今回の結果とあわせて考えると、「自己開拓」は外的要因による行動のコントロールに対して明確な効果を持たないことが再び示唆された。調整型セルフ・コントロールについても、交互作用と群の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=0.00,群の主効果F(1,196)=0.41,いずれもn.s.)。調査時期の主効果は有意であり(F(1,196)=8.61,p<.001)、「自己開拓」の受講の有無に関わらず、授業後は授業前に比べて調整型セルフ・コントロールが上がっていた。なお、2010年度の授業では交互作用は認められず、調査時期の主効果も有意傾向のみ認められていた(小塩他,2011)。その一方で、2011年度では交互作用が有意であり、「自己開拓」受講者の調整型セルフ・コントロール得点の上昇が認められた(小塩他,2012)。さらに2012年度では、受講者の得点上昇がみられ受講していない学生の得点下降がみられた。2013年度は「自己開拓」を受講した学生の調整型セルフ・コントロールは上昇する一方で、受講していない学生の調整型セルフ・コントロールは変化しなかった。このように、これまでは「自己開拓」受講者においては授業前後で一貫して上昇傾向にある一方で、統制群の得点が一貫していないという結果であった。しかし2014年度は受講してもしていなくても調整型セルフ・コントロールが上昇することが示され、これまでと同様に統制群の結果の一貫性のなさが見出された。3.1.6キャリア・アダプタビリティの変化キャリア・アダプタビリティの4つの下位尺度それぞれについて、2要因混合計画の分散分析をおこなった。関心において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用と群の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=2.12,群の主効果F(1,196)=2.11,いずれもn.s.)。調査時期の主効果は有意傾向であり(F(1,196)=3.13,p<.10)、「自己開拓」の受講の有無に関わらず、授業後は授業前に比べて関心が上がる傾向が見られた。つまり、受講群と統制群はともに、授業後に自己への関心が高まる傾向があることが示された。コントロールにおいて群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用も群の主効果も有意ではなかった(それぞれF(1,196)=0.00,F(1,196)=1.87,ともにn.s.)。調査時期の主効果は有意であり(F(1,196)=15.72,p<.001)、受講の有無にかかわらず自分をコントロールできる認識は高まることが示され、「自己開拓」独自の効果は認められなかった。好奇心の受講群と統制群別の、授業前後の平均値を図3に示す。図3授業前後の各群における好奇心の平均値好奇心において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用が有意傾向であった(F(1,196)=2.76,p<.10)。そこで単純主効果検定をおこなった結果、受講群においてのみ、授業前よりも授業後のほうが好奇心の得点が高かった(F(1,193)=14.69,p<.001)。つまり、「自己開拓」の受講により、好奇心が高まることが明らかになった。自信において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用は有意傾向が見られた(F(1,142)=3.54,p<.10)。そこで単純主効果検定をおこなった結果、受講群のみ授業後は授業前に比べて有意に自信得点が高くなっていた(F(1,193)=17.59,p<.001)。また、授業前は受講群と統制群で自信得点に差はなかったが(F(1,193)=0.12,n.s.)、授業後は受講群は統制群に比べて有意に高い傾向が見られた(F(1,193)=3.03,p<.10)(図4)。―23―キャリア教育科目「自己開拓」の効果好奇心の平均値

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