中部大学教育研究15
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2.852.902.953.003.053.103.153.203.253.303.35次に、現在の充実感において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用が有意傾向であった(F(1,196)=3.14,p<.10)。そこで単純主効果検定をおこなった結果、群によって授業前後の差は見られなかった(受講群F(1,196)=1.67,統制群F(1,196)=1.46,いずれもn.s.)。しかし授業前は受講群と統制群で差が見られなかったものの(F(1,196)=0.96,n.s.)、授業後は受講群のほうが統制群よりも有意に現在の充実感があがっていた(F(1,196)=3.85,p<.05)。このことから、「自己開拓」受講によって現在の充実感が増す効果が見られることが示された(図2)。次に、目標志向性において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用と群の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=1.07,群の主効果F(1,196)=0.50,いずれもn.s.)。しかし調査時期の主効果は有意傾向であり(F(1,196)=3.25,p<.10)、受講の有無に関わらず、授業前よりも授業後は目標志向性が上がる傾向があることが示された。また、希望において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用と主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=1.21,群の主効果F(1,196)=1.46,調査時期の主効果F(1,196)=0.06,いずれもn.s.)。これらのことから、「自己開拓」を受講することは、現在を充実させる効果があることが明らかにされた。3.1.5セルフ・コントロールの変化日常生活で観察されるセルフ・コントロール行動の個人差を評価する尺度(RRS)の3つの下位尺度それぞれについて、2要因混合計画の分散分析をおこなった。まず、改良型セルフ・コントロールについては、交互作用は有意ではなく(F(1,196)=0.16,n.s.)、群の主効果も有意ではなかった(F(1,196)=0.02,n.s.)が、調査時期の主効果が有意であった(F(1,196)=13.76,p<.001)。受講群も統制群も、全体的に改良型セルフ・コントロールの得点は授業前に比べて授業後で上昇していた。改良型セルフ・コントロールについては、これまでの研究では改良型セルフ・コントロールが「自己開拓」受講によって高まるかについては一貫性が見られなかった。小塩他(2011)、佐藤他(2013)、佐藤他(2014)では効果が見られたが、小塩他(2012)においては効果が見られなかった。今回も受講しているか否かに関わらず改良型セルフ・コントロールが上昇したことから、小塩他(2012)の結果と―22―佐藤友美・杉本英晴表2セルフ・コントロールおよびキャリア・アダプタビリティの平均値(下段は標準偏差)および分散分析結果図2授業前後の各群における現在の充実感の平均値2.292.412.292.4313.76***0.020.16(0.44)(0.50)(0.57)(0.52)2.502.492.402.450.241.160.79(0.44)(0.55)(0.59)(0.61)2.412.502.362.478.61**0.410.00(0.37)(0.46)(0.58)(0.55)2.752.932.672.693.13†2.112.12(0.80)(0.86)(0.94)(0.86)2.893.102.752.9515.72***1.870.00(0.68)(0.83)(0.91)(0.86)2.743.032.772.8814.44***0.432.76†(0.68)(0.79)(0.83)(0.84)2.692.952.652.7516.76***1.343.54†(0.70)(0.79)(0.83)(0.84)現在の充実感の平均値

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